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特集「産む」を巡る「公共」〜不妊症とプレコンセプションケアを考える〜(5)

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静岡県島田市

■培う(つちかう)健康と人生設計の礎

▽12~30歳 プレコン 推奨年齢

▽プレコンセプションケアのプレ(pre)は「〜の前の」、コンセプション(conception)は「受精・懐妊」で、「妊娠前の健康管理」という意味。WHOは2012年に「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義している。

▽ライフコース(人生の道筋)で特徴的な疾患

▽プレコンを始めるにあたってのツーステップ
(1)自分とパートナーの体と生活習慣について、よく知っておく
(2)健康のためにできることを、パートナーと一緒に実践する

▽不妊治療の保険適用と時を同じくして、子宮頸(けい)がんの予防接種が再開された。しかし、発がん原因のヒトパピローマウイルス(HPV)が、男性の陰茎(いんけい)がんなどにも関係していることは、あまり知られていない。
妊娠についても、40歳以上の流産率は半数を超え、45歳以上の自然妊娠の確率が5%に満たないことなど、ライフプランに必要な知識が欠落しているカップルも多い。
そこで、将来の妊娠・出産や加齢に備えた、若い世代からの健康管理「プレコンセプションケア(プレコン)」が注目されている。日本では、2015年に国立成育医療研究センターが、情報発信や健康支援の取り組みをスタート。思春期から性成熟期前期、12〜30歳までの生殖機能ケアが推奨されている。
プレコンは、妊娠を望む女性だけでなく、全ての世代にとって大切な知識だ。自覚が早いほど、健康寿命を長く支える。

▽子育て世代包括支援センター「てくてく」
不妊・妊娠・出産・子育てを取り巻く環境が多様化する時代。不安や悩みもそれぞれです。一つ一つの悩みや不安を聴きながら、現在と未来のママやパパそしてご家族も、楽しく前向きになれるよう、島田市子育て世代包括支援センター「てくてく」がサポートします。不妊に悩むカップルや出産を控えた妊婦、子育て中の両親や孫育て中の祖父母など、どなたでもお気軽にご相談ください。
窓口・電話相談の内容:不妊・不育、妊娠中の体調、子どもに関する心配ごと、予期しない妊娠、「島田市不育症治療費助成事業」など
場所:保健福祉センターはなみずき(1階)

問合せ:子育て世代包括支援センター「てくてく」
【電話】0547-34-3285
※「てくてく」の活動内容などについては、QR(二次元コードは本紙掲載)からホームページで。

▽「プレコンに取り組み人生の質をより高く」
浜松医科大学 生殖周産期医学講座
村林奈緒(むらばやしなお)特任准教授
・プレコンの必要性とは?
妊娠の合併症の予防や、子どもへの影響を考えると、妊娠中や出産後を見据えた「妊娠前」、理想的には生殖が可能になる思春期から、自分自身の体のケアが必要です。
・パートナー(男性)とプレコンを意識するメリットは?
食生活や生活習慣、肥満や痩身(そうしん)なども、男性不妊の要因として懸念されます。特に喫煙は、精液所見への影響が複数報告されています。女性だけでなく男性も、ブライダルチェックなどの受診機会を作ることをお勧めします。
・ブライダルチェックにも保険が適用されるの?
保険適用外の検査です。自費診療ですが、例え取り越し苦労に終わっても、互いの健康を思いやり、妊娠に向けて足並みを揃えるきっかけになるでしょう。もちろん、該当する症状があった項目は、部分的に保険が適用されます。
・プレコンは産後も必要?
プレコンを気遣うことは、子どもを授かりたい人にとって、自身のキャリアやライフプランを今一度よく考えることにもつながります。でも一方で、健やかでいることは、不妊も出産も年齢も性別も関係なく、人生の質(QOL)を高めます。だからプレコンは、一生のものなのです。
相談:不妊・不育専門相談センター
※静岡県の専門相談員が応じます。相談会も行います。詳細は、QR(二次元コードは本紙掲載)からホームページで。

▽妊活手記(にんかつしゅき)
支えは「大丈夫、僕がいるから」二人で同じ方向へ歩める幸せ
KAZUさん(30歳)

私が妊活を始めたのは29歳。自然妊娠で出産する友人を羨(うらや)ましく感じていました。地元の産婦人科でタイミング法を試すも効果はなく、不妊治療専門医へ転院を勧められた時は、自分が欠陥品に思え落ち込みました。
夫婦で検査を受けると、夫にも原因が。精子量が少なく、運動率も低いC評価でした。夫への告知は気を遣いましたが、二人で頑張る決心をしました。
本格的な治療を続けて、1年が経ちます。人工授精にステップアップすると、私は毎週通院し自宅で自己注射をするなど、金銭的・身体的なハードルが上がりました。保険適用とはいえ、窓口での支払いが1万円近い日もあります。生活費に占める割合が増え、終わりの見えない出費は不安です。夫も、数種類の服薬に加え、精子採取のために仕事の予定を調整しなければなりません。日時の縛りがある治療には、お互いストレスを感じます。
そんな中、生理が来て泣く私に、夫がかけてくれた一言が支えになりました。「大丈夫、僕がいるから」。二人が同じ方向を向いていることが、何よりの励みです。子どもの有無に関係なく、日常の幸せを大切に生きたいと思うようになりました。二人三脚で不妊治療を頑張る日々は宝です。いつか、つらかったことも笑い話になればと願っています。

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