■地域の自然を守り、財産区の伝統を継承するために
島田市大津財産区 財産区議会 議長
大畑修司(おおはたしゅうじ)さん(上野田)
旧大津村の旧島田市との合併に伴い、昭和30年に創設された特別地方公共団体の大津財産区。大津財産区として山林などの財産を持ち、管理や処分などを行っています。
▽財産区の現状と課題
大津財産区議会議長として、5年目を迎える大畑さん。大津地区のために、財産の保全と若い世代への継承に取り組んでいます。
「私が財産区の議員になった時には、すでに木材が低迷しており、引き合いもほとんど無くなっていました。また、土地を貸すことも少なくなっていきました。本来の目的は、木材や土地のやりとりから収益を得て、地域に還元することですが、次第に地元民が守ってきたものをどのようにして将来につなげていけるかが役目に変わっていきました。山は人の手を加えることで、治山・治水が可能となります。議員の高齢化のため、管理道保全のための補修や草刈りなど、できることは限られますが、地域のために続けていきたいですね」
▽地域への伝承と還元
「先日、大津小学校でしいたけの菌打ち体験を行いました。この取り組みは、20年近く続けています。子ども達は自然の大切さを理解するためだけでなく、しいたけの菌打ちのために、どのようにして原木ができるのかを学ぶ機会となっています。子ども達から毎回、感謝の手紙をもらえることがやりがいの一つになっています。
また、これまでの財産区の収益は、大津小学校の仮設校舎増築やベンチの寄贈などに活用されました。これらの取り組みから、昨年12月には、静岡県教育委員会教育長から表彰されました。地域への活動が認められたようで、とてもうれしかったですね」
▽未来を見据えた取り組み
「議員の成り手も少なくなり、高齢化も進んでいて、これまでできていたことも徐々に難しくなってきました。木の枝打ちなど素人では難しいことは、専門家に依頼するようになりました。ほかにも、マウンテンバイクの団体が、山の保全や道の修繕をしつつ活動してくれています。その団体としても、他者に危険が及ばない場所で活動できることはメリットであり、財産区としても山の保全につながることになり、上手く連携していきたいですね。お茶などの農家も減ってきているので、新しい需要に適応しながら未来のために、財産区を残していきたいですし、残す方法を考えていきたいです。再び、家などに木材が使用されることを期待したいですね。
若い世代にも、私たちの活動を通して、山の保全や自然を大切にする意識を持ってほしいです」
地域との固い絆で自然を守る大津財産区。伝統と新たな取り組みは、きっと次世代に受け継がれていくでしょう。
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