■それって本当に「歳(とし)のせい」ですか?
歳を取ると手の動きが悪くなったり、転びやすくなったりしますよね?「歳のせい」で済ませていませんか?実は首が原因かもしれませんよ。
頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)という疾患があります。脊髄が、頚椎(首の骨)の加齢性の変化によって圧迫を受け、手足に障害が出るものです。典型的な症状としては巧緻(こうち)運動障害、歩行障害があります。巧緻運動障害とは、ボタンをはめる、箸を使うなど、手指を使った細かい作業がしにくくなることで、字が下手になることなどの症状もあります。頚椎の脊髄圧迫による症状は、徐々に進行するため、なかなか気づきにくく「歳のせい」で済ませてしまっていることも多いのです。
もしも、転倒して首に強い衝撃が加わった時などには、脊髄損傷といって手足の麻痺を生じる危険性があります。最近は、この頚椎症性脊髄症を背景とした高齢者の脊髄損傷の発生が増えています。脊髄は、いったん障害を受けると回復が難しい場合もありますので、脊髄に障害が加わる前に、早めの診断と適切な治療を受けることが望ましいです。
最近、手足の動きが鈍くなってきた、転びやすくなってきたと感じる方は、頚椎が悪くないか受診された方が良いかもしれません。
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