文字サイズ
自治体の皆さまへ

〈特集〉栗林公園 特別名勝指定70周年 一歩一景に込められた思いを訪ねて(2)

3/18

香川県

■豊かな世界観を楽しむ体験型の仕掛けでPR
栗林公園は室町時代、今の小普陀(しょうふだ)の辺りにあった小さな庭園から始まったとされます。江戸・寛永年間に香東川の治水工事によって現在の園の基盤ができ、生駒・高松松平歴代藩主の手で庭園として整えられ、1875年から県立公園として広く公開。皇族や海外の王室関係者らをたびたび迎えるとともに、1930年には動物園も開園して多くの人々でにぎわいました。53年に国の特別名勝に指定され、2009年「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では三ツ星を獲得するなど海外でも高評価。コロナ禍で減少した来園者数は22年度に前年度比約2倍まで回復し、讃岐民芸館のリニューアルなど園内施設の刷新も進んでいます。
「来園された皆さんが、松の見事さや広大な庭園美に『すごい!』と感嘆されますが、園内の『一歩一景』の趣は、築庭の歴史や大名文化が深く関わっています。それらを知る方は香川県民でも多くないのでは」と、同園観光事務所長の山本知子(やまもとともこ)さん。
「庭園を眺めて終わるのではなく、その趣にひそむ歴代藩主や庭師の意図などを知れば、『へぇー』とうなずける面白さが満載」と、何度でも足を運んでいただけるような仕掛けづくりや効果的なPRに取り組んでいます。
400年の歴史や文化を体感・体験できるよう、歴代の所長らも、和船の運航や庭師の衣装を江戸時代風にするなど、世界観のつくり込みに注力。山本さんも、「訪れたくなる栗林公園であり続けるため、この園の貴重な文化資産で『極上の空間と時間』を演出したい」と語っています。

◆栗林公園の見どころ
◯小普陀(しょうふだ)
栗林公園が造られ始めた時からある場所で、室町時代の石組みの手法で造られた丘。中国の有名な観音菩薩の霊場「普陀山」から名付けられました。

◯仙磯(せんぎ)
中国神仙思想により、湖に浮かぶ不老不死の理想郷を表現したもの。小さいながらも存在感のある石組みで、仙人が住む島とされています。

◯旧日暮亭(きゅうひぐらしてい)
1700年前後に建てられ、茶道・三千家の一つ武者小路千家が誕生した頃の造りといわれる全国でも数少ない貴重な大名茶室。

◯鴨場(鴨引き堀)(かもば・かもひきぼり)
北庭にあるカモ猟をするためにカモをおびき寄せる場所。鴨引き堀が残る鴨場は日本で5カ所のみ。その中でも最大規模の長さと幅を誇ります。

◯讃岐民芸館(さぬきみんげいかん)
2022年にリニューアルオープン。古民芸館、惜々亭(せきせきてい)、新民芸館、瓦館の四つの建物からなり、郷土の焼き物や漆器、民芸品などを展示しています。

◯杜鵑嶼(とけんしょ)
南湖に浮かぶサツキツツジの島。東側にハートの形をした「恋つつじ」があり、花が咲く5月から6月には、ピンクに色づいたハートを見ることができます。

◯日暮亭(ひぐらしてい)
旧日暮亭が園外に移された跡地に建てられた茶道の石州流の茶室。五つの部屋の真ん中に設けた水屋はどの部屋も賄えるように工夫されています。

◯見返り獅子・牡丹石(みかえりじし・ぼたんいし)
梅林橋の近くにある二つの自然石。その形が振り返った獅子やボタンの花に似ていることから名付けられました。

問い合わせ先:栗林公園観光事務所
【電話】087-833-7411

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU