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六月号 本の紹介

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高知県仁淀川町

地域おこし協力隊
エルドリッヂ愛未

■ウォールデン 森の生活
ヘンリー・デイビッド・ソロー
この本は、アメリカの哲学者、詩人、自然主義者ヘンリー・デイビッド・ソローの2年間にわたっての孤独な森の生活によって生まれた哲学的な随筆だ。ソローはアメリカ社会の資本主義的な価値を強く批判し、お金や地位を求めるのではなく、より意味のある生き方があると考えていた。彼はその生き方を追求するために街を去り、ワルデン池の側に一人で小屋を建て、自然と共存した生活を過ごした。この本ではそこで得た哲学的思考や自然の大切さと持つべきつながりについて書かれている。
この本は仁淀川町に行くと決まった時に叔母が贈ってくれた本だ。私が好きそうな本だと言って薦めてくれた。詩人であることや自然深いところで生活を送りたいところなど、当時から大きな共通点はあったが、今回はより響いた。仁淀川町に移住してからの自分の変化が際立った。そして、この土地の自然にどれだけ救われたか、ソローの詩的な文章を通して感じさせられた。
作者は仕事や住居や人間関係など、生活にあるもの全てを見つめ直し、本当に必要なものだけを残すことで、生活の質がよくなるという考えを持っている。これは日本でいう江戸末期の時代で、またアメリカマサチューセッツ州での話だが、セローの哲学は現代の日本社会でも通じるメッセージを持っており、コロナ禍で世間に読み直され、話題になった理由が今回読んでよくわかった。本当に大切なものを見極めようと、きっかけを与える一冊だ。
ソローの豊かな感受性と深い考察と、生きることの真理を解き明かそうと前に進む姿勢は色あせない。人生において、何が削ぎ落とせるもので、何を残したいと思うのか。無駄を省き、この本に知恵を借りながら、心豊かな生活を探求していきたいと思う。

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