このコーナーでは、何気ない日常で見つけた素敵なデザインを楽しみます。
▼文化財マップの楽しみ方
日高村たからものマップができました。今回も紙面の都合でマップに掲載できなかった情報について紹介していきます。
▽阿吽
「阿吽の呼吸」という慣用句でも知られる「阿吽」。神社など文化財の意匠でよく見られます。例えば神社の狛犬(※1)は参道を挟むように二体一対で配置されていますが、よく見ると片方が口を開け、もう片方が口を閉じています。これが「阿吽」のデザインです。これは、古代インド語に属する梵語(サンスクリット語)に由来すると考えられていて「阿」は最初で、「吽」は最後の音を意味しています。インド哲学で「阿吽」は万物の始まりと終わりの原理を示すとされています。
※1 現在では獅子・狛犬を総称して「狛犬」と呼ぶが、一般的には神社に向かって右が獅子で左が狛犬。狛犬と獅子を区別する場合、獅子は耳を垂れ立髪は巻毛、狛犬は耳を立て立髪は直毛で、角を生やしているものもある。
▽狛犬
日高村の狛犬は石製のものが多い中で、何体か木製の狛犬も確認されています。日高村にある木製狛犬の制作された年代は不詳ですが、一般的に時代が古くなるほど木製のものが多くなるようです。これは狛犬が当初、拝殿などの屋内に置かれていたためです。小村神社に保管されている「えんこう像」と呼ばれる像は見た目は木製狛犬で、隠部には雄のシンボルを確認できます(※2)。11月15日の秋大祭時のみ公開されています。
※2 県外では、二体一対の狛犬がそれぞれ雄雌のシンボルを付けているものもある。狛犬の性別については、研究者によっては両方が雄である等、さまざまな意見がある。
●参考資料
・上杉千郷「日本全国獅子・狛犬ものがたり」戎光祥出版(株)2008年
・【HP】おけいはん.ねっと 京都ツウのススメ「第32回京の狛犬」
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