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南部町のいきものたち(198)

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鳥取県南部町

■「チッチゼミ」
◇念願の出会い!
「やった!撮れた!」デジタルカメラの連写音が聞こえた時、思わずそう声が出ました。2020年9月29日、夫婦で東上地区に所用があり、そのついでに取材をしていた時のこと。ふと聞こえてきた「チッチッチッチッ」という、まるで漫画やドラマでよく表現される時限爆弾のタイマーのような音。「チッチゼミだ!」私たち夫婦は同時に叫びました。「どこだ?近いぞ!」「そこ!ツツジの植え込みじゃない?」2人で鳴き声の発信源がどこなのか目を凝らして探しました。「いたぞ!」体の長さはわずか2〜3センチ、100円玉と同じくらいの小さな黒いセミ、チッチゼミがコバノミツバツツジの枝にとまって鳴いているところを発見。夫が脅かさないように近付いて撮れた写真が今回の画像です。南部町に来てから17年目でようやく撮れた証拠写真となりました。

◇アカマツ林が好き
チッチゼミは秋のセミとされています。これまで、桐原家では新宮谷大橋の近くや御内谷、手間要害山などで鳴き声だけは確認しています。目安はアカマツの林です。しかし、体が小さく、高い梢の混み入った枝葉の中にいるので、姿が見えずに、ラブコール中の様子をなかなか拝めなかったのです。他の針葉樹の仲間、スギやヒノキ、カラマツが生えている乾燥した場所も、好みの生息環境となるので捜索の手がかりに樹木にも注目です。

◇2番目に小さいセミ
チッチゼミは沖縄県のイワサキクサゼミに次いで日本で2番目に小さなセミです。今回出会ったチッチゼミは、撮影後に網を出しましたが捕獲ならず、残念ながら標本は作れていません。もちろん抜け殻の標本もなしです。町内には現在8種類のセミが確認されています。ニイニイゼミ、ヒグラシ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ミンミンゼミ、クマゼミ、ハルゼミ、チッチゼミ、それぞれの記録写真と、成虫・抜け殻の標本を揃えられればと20年見て回っていますが、いまだにコンプリートならず。なぜかアブラゼミはたくさん拾っていますが、チッチゼミもどこかに落ちてないかなと、南部町のセミ探しはまだまだ続きそうです。

自然観察指導員 桐原真希

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