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-特集-プラネタリーヘルス~人の健康、地球の健康~(1)

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鳥取県江府町

◎桐村 里紗
医師/tenrai株式会社代表取締役。東京大学大学院工学系研究科道徳感情数理工学共同研究員。愛媛大学医学部医学科を卒業後、予防医療から生活習慣病、終末期医療まで幅広く診療経験を積む。
令和4年に江府町と連携協定を締結し、江府町せせらぎ公園内あやめ館を拠点に、プラネタリーヘルス地域モデル構築を行う。

みなさんは「プラネタリーヘルス」という言葉をご存知でしょうか。テレビや新聞でもたびたび目にするようになりましたが、平成27年頃から使われるようになった、比較的新しい言葉です。今月号の特集ではこのプラネタリーヘルスについて、江府町でプラネタリーヘルス推進活動をされている医師で、tenrai株式会社の桐村里紗さんと共にお届けします。

■プラネタリーヘルスとは?
プラネタリーヘルスとは、「人を含めた地球全体の健康の実現」という、概念です。
もし100年後、地球温暖化などが進行して地球環境が激変してしまっていたら、私たちは健やかに生活しているでしょうか。きっと今よりも苦しい生活になっているだろうという事は、想像するのは難しくないと思います。人が健康でいるためには、人を取り巻く環境を含めた健康を考えていかなくてはいけません。近年の新型コロナウィルスのパンデミックにより地球全体が病気のような感じになっています。そしてこの夏も連日、災害級の猛暑と言われるほどの気温です。地球の環境によって人が被害にあっています。壊れていく地球環境を良くしていかなければ、私たちの健康は実現できないのです。

■病気のない世界を目指して
病気のない世界を作りたいという思いで医師になった桐村さん。しかし、病院というのは病気になった人を治療する場所。しかも根本的な解決が難しい場合もある。それなら、そもそも病気にならないような生き方をサポートするというのが、桐村さんのミッションだそうです。社会的環境が変化したことによる現代のライフスタイルで、生活習慣病患者は増えています。なので、その地域と共に社会環境を変えていき、病気のない世界の実現を目指します。
江府町は地球環境教育に取り組んでいますが、地球環境を良くするということは、巡り巡ってそれは人の健康を実現するため、自分のためでもあるとのことです。

■プラネタリーヘルスとSDGs
世界人口がここ近年で爆発的に増えています。それに比例して人の経済活動も上がることによって、生態系への負荷も上がっています。人間と地球が共存していくための越えてはいけない境界のことを、プラネタリーバウンダリーと言います。このプラネタリーバウンダリーは9つの環境指標で分かれていますが、気候変動などいくつか限界領域を越えてしまっています。経済が発展すると地球環境が悪くなり、森林破壊や生態系の変化など様々な問題が起きて、私たちに影響をあたえています。人間が起こした事によって地球環境を破壊し、結局人間に返ってきているのです。
プラネタリーヘルスの考えでは、人間や動物はもちろん、中海の汚染などの問題も全部合わせて、地球という生き物です。地球全体を健康にしましょうという考えです。SDGsの17項目の目標をバラバラにとらえず、全て繋がり合うものとして全体を解決するのがプラネタリーヘルスです。地球環境が土台にあって、その上に社会環境があり、経済があります。人がこれまで地球環境を壊してきた生き方、地球との関わり方を変えていきながら、SDGsの目標を達成しようという考えですので、プラネタリーヘルスとSDGsはセットですね。

◎図1-1-1 プラネタリー・バウンダリー
出典:環境省ホームページ環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書
【HP】https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r05/html/hj23010101.html#n1_1_1_1
※詳細は広報紙4ページをご覧ください。

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