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いにしえの香り ~わが町の文化財紹介 No.1

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鹿児島県いちき串木野市

「いにしえの香り」では、市で行っている文化財等調査保存事業などで発見された価値の高い新資料を、隔月で紹介していきます。

■木造地蔵菩薩立像
この地蔵菩薩立像は、旭地区の民家で永く祀っていたものを市に寄贈いただいたものです。黎明館の仏像企画展の折に調査をしていただき、その結果、室町時代後期(15~16世紀)に造られたものと考えられています。材質はヒノキの一本造で、構造は内刳(うちぐ)りを施さず、左右の肩先部を別材で造って本体に接合しています。両手先と両足先はそれぞれ楠材(くすざい)による補修です。本体に残る鮮やかな彩色は後から付けられたものです。
通例の地蔵菩薩像のように袈裟(けさ)と覆肩衣(ふくけんえ)をまとい、下半身には裙(くん)をまとっています。どっしりとした体型や大まかに刻まれた衣文(えもん)などは室町時代後期の作風を示しています。
県内では末吉歴史民俗資料館蔵の木造薬師如来像(1554年)に近く、それよりもやや古い時期の作例と考えられ、県内でも希少な室町時代の作例です。廃仏毀釈を逃れた仏像としても貴重です。

◇廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)とは
明治元年(1868年)に王政復古をめざす明治政府は神仏分離令を出し、寺院や仏像の破壊など仏教職の払拭に努めた。薩摩藩では寺院と民衆の結びつきが薄く、僧侶の生活保障に努めたこと、廃寺によって得られる財源をもとに軍備増強に使う目的などから徹底的に行われました。

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