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SATSUMA×WORK さつま×しごと(Vol.30)

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鹿児島県さつま町

■畳職人×藤森健太
日本で生まれ、古来より人々の営みを支えてきた畳。踏み入れた瞬間に感じる香りと感触は、私たちに癒しを与えてくれます。明治時代から続く有限会社宮畳工場で、体よりもはるかに大きな畳を軽々と持ち上げて運ぶのは藤森健太さん。畳への愛にあふれる若き職人です。
畳は、イグサを編み込んで作られた畳表を、畳床と呼ばれる芯に縫い付けてできています。藤森さんが作っているのはこの畳床。藁(わら)を縦横交互に重ねて並べ、専用の機械を使って圧縮しながら糸で縫い合わせます。「畳床は畳表の下に隠れているため見る機会は少ないと思いますが、座ったときの心地よさは畳床に左右されることが多いです。藁は自然のものなので、一本一本太さや硬さはバラバラ。それを均等の厚みになるよう、従業員みんなで協力しながら作っています」と話します。最近では安価で加工しやすい木材チップを使った建材床が主流になっている畳床。そんな中、宮畳工場は昔ながらの藁で作る県内でも数少ない畳工場です。「藁は、部屋の湿度が高いときは湿気を吸収し、低いときには水分を出して快適にしてくれます。また、耐久性に優れ、家具を置いた跡も残りにくいです」とその魅力を語ります。
今年8月、宮畳工場も名を連ねる県畳工業組合は、幻と呼ばれる柔道畳を復元しました。復元したのは、七島藺(しちとうい)というトカラ列島由来の植物を使った畳表で作る希少な畳。県内では長い間作られていませんでした。「七島藺の柔道畳は、柔道が誕生して間もない約120年前に作られた非常に丈夫な畳で、そのルーツは鹿児島にあります。今回、その畳床を作らせていただきました。県内の畳職人の技を結集して甦(よみがえ)らせた幻の畳で業界が盛り上がってほしいですね」と話す藤森さん。伝統ある畳を後世に残すべく、今日も腕を磨きます。

○藤森 健太(ふじもり けんた)さん(32)
虎居地区在住。独身。8年前、飲食店の接客業から転職しようと自宅で履歴書を書いていたところ、畳を替えに来た宮畳工場の社長に誘われて同工場で働き始める。趣味は歴史探訪。畳職人になってから、観光で訪れた城や武家屋敷の畳の状態が気になって仕方がない。

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