■〔1〕安定した雇用を創出する
(1)農業・水産業の持続的発展による経済の活性化及び所得の向上
令和4年度の農業総生産額は、子牛価格の低迷や悪天候によるばれいしょの生産量の減少により41億5千万円にとどまりました。また、燃油や肥料・飼料等生産資材の高騰が今なお続いており、農業経営を大きく圧迫しております。国・県におきましては肥料価格高騰に対する緊急支援事業や肉用子牛生産者補給金の交付が行われているところです。さらに、町としましては、単独事業により、セリ子牛1頭当たり1万円を助成する畜産経営安定対策事業や堆肥助成の拡充を行ってまいりました。
資材価格の高騰は今後も続くことが予想されております。生産力向上と持続性の両立を目指し、自給肥料や自給飼料の活用により足腰の強い農業に取り組んでまいります。
また、持続可能な社会を目指すSDGsへの取組が世界的に進められているなか、環境との調和や、希望する全ての人が営農できる農業づくりも重要となります。さらには、これまで営まれてきたさとうきびの手植え手刈り、さつまいも栽培などの農業文化を次世代に継承することも必要だと考えております。これらの課題に取り組むべく、大規模集約化を推進しつつ、新たに「島農業復活プロジェクト」を展開し、第3次天城町農業ビジョンで掲げた45億円を達成できるよう「楽しい農で目指せ楽農!!目指せ45億!!」をスローガンに農業の振興を図ってまいります。
地域農業の安定化を図るため、引き続き、農業センター研修制度や指導農業士による指導等を通じて新規就農者や地域を担う人材への支援を行ってまいります。併せて、女性の農業参画や農福連携など地域農業を支える人材の確保に努めてまいります。
人・農地プランが法定化され、地域計画を定めることとされています。農家が守ってきた農地を次の世代へ引き継ぐため、農地中間管理事業を推進し、担い手への農地の集積を進めてまいります。
令和4年度から農村型地域運営組織(農村RMO事業)を活用し、「地域資源の活用」「農用地の保全」「生活支援活動」を目的に、ワークショップやマルシェの開催と、地域における課題や意見について収集を行いました。新年度も定期的なマルシェの開催や農産加工品の試作、農用地の保全活動、「あまぎ自然と伝統文化体験館」内の直売所開設に向けた農産物の集出荷システムづくり、高齢者の買い物支援等、地域の課題解決と活性化に向けて取り組んでまいります。
基幹作物でありますさとうきびは、熱帯地方での作物の光合成能率の高い特有の反応経路をもつ植物群、いわゆるC4(シーよん)植物として地球温暖化の一因となる二酸化炭素を吸収する機能が他の植物に比べて高いと言われております。また、本町のみならず奄美の経済を支えてきた文字通りの基幹作物であります。
今期産は基準糖度13.7度の1トン当たりにおける生産者手取り価格が2万4千616円と、過去最高を3期連続で更新しております。生産量につきましては、天城町で6万1千4百トン、徳之島三町では約16万トンの見込みとなっております。
一方で収穫面積が減少に転じ、農家の高齢化や労働力不足による適期植付け・管理作業の遅れ等による単収低下が懸念されるとともに、今期は製糖工場の機器故障により製糖期間が延び、管理作業の遅れも危惧されるところです。ビレットプランターやスクープ等の高性能農業機械の活用、土壌診断の推進や堆肥投入による土づくり、可動式誘殺灯による病害虫対策、手植え助成の拡充により次期増産へつなげてまいります。
畜産につきましては、町内繁殖雌牛頭数が4千4百頭を超え、出荷頭数も3千頭を超えました。なお一方で、低調な子牛価格推移と飼料価格の高騰も重なり経営が圧迫されておりますが、商品性の高い子牛生産体系の確立を目指し、引き続き繁殖素牛導入・自家保留促進助成事業による優良雌牛更新を進めてまいります。
また、畜産クラスター事業や町単独事業で規模拡大や省力化を図るとともに、飼料畑に対する土壌改良資材助成の継続により、良質粗飼料の自給率向上を図ってまいります。
さらに、家畜排せつ物の適正な処理・有用な有機物肥料の活用に向け堆肥舎等整備事業も引き続き行ってまいります。
加えて、環境対策の一環として、未利用の牛糞や作物残渣の堆肥化も視野に入れた堆肥センターの導入も検討してまいります。
ばれいしょにつきましては、昨年の悪天候による生産量の低下から、作付け面積の減少が懸念されるところでしたが、今期植付けは185haと微減にとどまりました。定時・定量・定質の三原則に地域全体で取り組み、消費者や市場からの更なる高評価確立を目指してまいります。そのため、農業センターや関係機関による研修会の開催、営農指導による生産技術の向上、適期管理の周知、畑かん利用の推進を行ってまいります。また、輸送コスト支援事業や野菜価格安定基金事業による経営面からの支援、機械導入助成やドローンによる薬剤散布助成など作業省力化支援を行ってまいります。
新たに、「島農業復活プロジェクト」の一環として、試験的にさつまいも栽培を行い、輪作による圃場の有効活用と夏場の所得確保を目指し、島内加工を見据えたさつまいも栽培に取り組んでまいります。
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