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Medical Lecture 健康教室

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鹿児島県 指宿市

■子どもの腹痛について
◇Doctor 今月のドクター
指宿医師会
生駒 真一郎(いこましんいちろう)

おなかの痛みは、子どもの日常診療で最もみられる症状の一つですが、子どもは症状の変化を正確に話せないため、ご家族の察知が遅くなりやすいとされています。腸炎や便秘症など軽症であることがほとんどですが、時に手術を含む緊急処置を必要とする場合があります。年齢によって発症しやすい時期があり、その代表的な病気を紹介します。
生まれて1年は乳児期といいますが、乳児期の子どもはそもそも言葉をあまり話せないので、痛みを訴えることはまれです。機嫌の悪さ・おなかの張り・吐くこと・お尻から出血することで初めて異常を疑うことがほとんどです。乳児期から3歳くらいまでに比較的みられるのが腸重積症という病気です。腸は食べ物の消化や栄養の吸収をしながら、便をお尻に向かって運んでいく蠕(ぜん)動という動きをします。この蠕動により、腸がよりお尻側の腸にはまり込むことを腸重積症といいます。腸の途中が行き止まりになってしまうため食べても吐いてしまう他、便に血が混じってイチゴゼリー状の便が出ることが多いです。おなかの痛みも出ますが、出ない時間帯もあります。お尻から空気や造影剤というお薬を流して、はまり込んだ腸を押し出す処置で治ることがほとんどですが、治らない時は緊急手術をして治します。
3歳ぐらいからは急性虫垂炎という病気もよくみられます。一般的には「盲腸」と呼ばれますが、おへその右下から下を痛がることが多いです。おなかの右下の虫垂という小さな臓器に菌がたまることによって急な痛みとして起こります。子どもの場合は大人よりも進行が早く、1~2日たつと虫垂が破れてしまい、おなか全体の感染症になってしまうこともしばしばです。エコーなどの画像検査で、どのくらい虫垂炎が進行しているのかは分かるので、進行した虫垂炎は緊急手術を行うのが望ましいとされています。抗生剤という薬でも軽い虫垂炎は治りますが、子どもの場合は大人に比べて約10倍再発しやすいといわれています。最近の虫垂炎手術は腹腔鏡という細いカメラを使って行い、傷も小さく入院期間も短いです。手術の注意点も確かにあるのですが、何度も同じ痛みを繰り返すよりは手術で治したいと考える患者さんも多くなってきたように思います。
おなかの痛みを起こす病気は他にもまだまだあります。これは病気なのだろうかと独りで悩まず、ぜひ医療機関を受診し相談してください。

問合せ:指宿医師会
【電話】34-2820

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