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【特集】牛肉を食べる。(1)

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鹿児島県霧島市

昨年10月に霧島市と南九州市で開催された、和牛のオリンピックとも称される全国和牛能力共進会(以下、全共)。輝かしい栄光からはや1年、食欲の秋を迎えるこの時季に、牛肉の魅力に触れてみましょう。

鹿児島大学教授
大塚 彰さん(58)
鹿児島市在住。専門は飼料化学で、飼料の栄養機能成分による家畜の健康と肉質の向上のための研究を行う。最近はジビエの研究にも取り組む。

「鶏肉は脂質が少なく、高たんぱく質なのでダイエット食にぴったり」「豚肉はビタミン豊富で疲労回復に効果がある」など話題になる食肉の栄養価ですが、牛肉についてはどうでしょうか。

■脂肪燃焼の強い味方
たんぱく質は骨や筋肉、皮膚など体の組織を作るのに重要な役割を持つ栄養素です。中でも牛肉、豚肉、鶏肉など食肉全てに共通する栄養素の動物性たんぱく質は、体内で合成できない必須アミノ酸を含んでいます。「牛肉には必須アミノ酸がバランスよく含まれています。中でも注目してほしいのが、主に必須アミノ酸を基に体内で合成されるカルニチンの効果。一言でいうと、ダイエットに効果的な働きをするんです」と話すのは、鹿児島大学教授の大塚彰さん(58)です。
カルニチンは脂肪の燃焼に大きな役割を果たします。脂肪が体内で分解されてできる脂肪酸は、そのままではエネルギーに変換する器官・ミトコンドリアに入ることができず、脂肪として蓄積されてしまいます。カルニチンが脂肪酸と結合することでミトコンドリアに入れるようになり、脂肪をエネルギーに変えるという、脂肪の燃焼が行われます。
「カルニチンは、牛などの反すう動物の筋肉中に多く存在し、植物性食品にはほとんど含まれていません。人の体内でも合成されますが、加齢とともに合成量が減ることが分かっており、中年太りの一因になっているのではないかともいわれています。そのため食品からカルニチンを補給する必要があり、手軽に買える食肉の中では、牛肉に最も多く含まれています(グラフ)」

◇各種食品中のカルニチン含量

■抗疲労・抗老化、認知機能改善も
大塚さんが牛肉の特徴としてもう一つ挙げるのが、動物の筋肉に多く含まれるカルノシン。特に哺乳類の筋肉や神経組織に多く含まれるカルノシンは、抗疲労・抗老化作用に加え、認知機能の回復にも効果があることが分かっています。
「カルノシンは、腸と脳の相互作用を活性化させることが分かっています。仕組みの全ては解明されていないものの、カルノシンは脳の神経細胞中に多いので、認知機能に効果があるとされています。カルノシンも、鶏肉や豚肉に比べると牛肉に多く含まれる成分なんですよ」と大塚さんは話します。
他にも、傷の回復や正常な味覚を保つのに役立つ亜鉛など、人の体内では作ることのできない栄養素が牛肉には含まれています。
しかし、これらの成分は牛肉中の筋肉・赤身部分に含まれるもので、脂質を一緒に取り過ぎてしまうことには注意が必要です。とは言え、牛肉は脂肪があることで柔らかさやおいしさを生み、口に入れたときの幸福感を味わうことができるのも事実。野菜や豆類などとバランス良く食事に取り入れることを心がけましょう。

◇「カルニチンの働き」の詳細は本紙PDF版3ページをご覧ください。

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