文字サイズ
自治体の皆さまへ

【広報誌をもっと身近に】皆さんの物語をこれからも紡ぎたい

4/34

鹿児島県霧島市

全国広報コンクールで内閣総理大臣賞など数々の受賞歴がある、静岡県島田市広報課の鈴木克典さんに話を聞きました。

鈴木 克典さん(51)
静岡県島田市広報課課長補佐
民間会社勤務を経て、平成16年入庁。平成18年から広報を担当し、連続18年目。全国広報コンクールでは平成28年と令和2年の2回、内閣総理大臣賞を受賞。特選3回を含む入選は9回。

広報しまだ令和元年11月号
(内閣総理大臣賞受賞作品)
重いテーマに関する気付きを大切に、多くの市民の本音を紹介。潜在化している心のバリアフリーについて考えさせられる特集として高い評価を得た。

「広報しまだ」では、見ようとしなければ見えない地域課題を可視化することを主眼に、終末期医療や子どもの貧困、(※)きょうだい児や大人の発達障害などを特集テーマとして取り上げています。一方で「誰かに光を当てれば、他の誰かがその影に潜んでしまうのでは」という思いに駆られ、1ページでも多く市民の物語や地域の課題に誌面を割き、見えづらい部分を減らせるよう腐心していますし。

■広報誌に込めた思い
とはいえ、住民に「掲載されるなんて恥ずかしい」と感じさせるようでは、そもそも協力を得られません。取材を依頼した際に「掲載されるなんてうれしい」と喜んでもらえるような存在にする必要があります。「なんて」に続く言葉を変えるため、住民目線で疑問を解きほぐし、時には行政の弱みを吐露するような特集を手掛けています。

■自治体広報誌の在り方とは
大震災・豪雨災害・コロナ下など世の中が大きく変わるたび、自治体広報誌は読者ニーズに対応するとともに、住民に寄り添ったニュースを伝えてきました。しかし、日々加速する社会のデジタルシフトは、それらの変化とは異質なものです。なぜなら、広報誌の在り方そのもの、端的に言えば「要るか、要らないか」を問われているからです。
行政情報の受発信において、速報性の点でスマートフォンへの依存は避けられません。それは既に、新しい生活様式の一部になっているのは明らかです。では、スマートフォンで読めるけれど実物を手に取りたいと求められる、ある意味“ぜいたく品”になった広報誌の真価とは何なのでしょう。
それは、検索して画面に表示される「データ(お知らせ)」の情報量ではなく、自治体広報誌でしか知り得ない「ストーリー(特集)」の有無と、その熱量ではないでしょうか。

■広報きりしまには愛がある
広報きりしまの各コーナーには、地域への気付きや誇りが備わっています。そして何より特集からは、担当者の惜しみない「霧島愛」があふれ出ています。地域の隅々まで土を踏み住民と出会い、汗をかいて記事を書くことで生まれる「現場力」。さらに、住民を主人公として照らし出し、普通の軸をずらして個性を記事にする「想像力」。これらにより広報きりしまは、住民にとって唯一無二の存在となっているはずです。
記憶から継承へ、衰退から再起へ、そして災害から復興へ。広報きりしまの特集は、事実をドキュメントに留めず、人間の前向きなドラマへと昇華させていて、その編集手腕とデザイン性は秀逸です。実物を手にしてページをめくった時、住民でない人でさえ、その熱量に「紙媒体として必要不可欠」と太鼓判を押すでしょう。

■人と人、地域をつなぐ広報誌
気持ち(情)を知らせ(報)に添えて、手から手へと渡される広報きりしま。これまでの日常が大きく変化しているからこそ、人と人をつなぎ関心から共感を生む情報源として、そして行動を促し関与から共創を起こす原動力として、今後も地域でその真価を発揮し続けていくに違いありません。
※重い病気や障がいを抱える兄弟や姉妹がいる子ども。

◆静岡県島田市
静岡県の中央部に位置する都市。人口9万5752人、面積315.7平方キロメートル

全国的に高い評価を得る島田市の緑茶と住民の緑茶愛をPRするシティプロモーション「島田市緑茶化計画」には、鈴木さんも携わる。

■これからも、皆さんと共に
毎号、たくさんの市民の皆さんに出演いただいている広報きりしま。広報誌で紹介できるのは、ほんの一部の物語であり、地域には頑張っている・活躍している人が他にもたくさんいます。少しでも多く、そんな皆さんを紹介できるように、今後も各地の魅力を発信していきます。
広報誌の必要性すらも問われる今の時代。ある意味“ぜいたく品”となってしまったからこそ、今後も市民の皆さんに1番身近な情報誌として、読んでもらえる、伝わる広報誌を目指します。
多くの人に支えられ、今回400号を迎えることができました。広報誌の取材や編集、配布や発信など、これまで広報きりしまに関わった全ての人に感謝を申し上げます。皆さんと一緒に作る広報きりしまが、私たちも大好きです。ますます霧島市(このまち)を好きになってもらえるよう、人や地域が輝き、愛される広報誌を、これからも皆さんと作っていきます。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU