■巌谷小波(いわやさざなみ)『寄書茶碗(よせがきちゃわん)』
□旅立つ友へ思いを寄せて
この作品は、児童文学の世界で活躍した巌谷小波が、小学校からの友人である黒田清輝(日本近代洋画の発展に貢献した鹿児島出身の画家)の1900(明治33)年の渡欧に際し、黒田への思いを寄せたものです。
寄せ書きといえば色紙などに書いて贈られますが、これは幼なじみである2人が窯元で一緒に制作したものと思われます。茶碗の外側には「黒田君と別れる時、私は横浜埠頭(ふとう)で君(黒田)の旅の出発の様子を描いて記念とする」という内容の文字と汽船の絵が描かれ、内側には巌谷の句とサインが記されています。お茶を飲み干したときに現れる底の部分には、旅立つ黒田の後ろ姿が描かれており、巌谷の遊び心が感じられます。
※7月23日(日)まで開催する小企画展「みなもをめぐる―水の表現を味わう」で展示しています
問合せ:市立美術館
【電話】224-3400【FAX】224-3409
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