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自治体の皆さまへ

みんなでつくる認知症フレンドリーなまち(2)

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三重県四日市市

■もし認知症になったら
●家族のキモチ
▽周囲に支えられています
私が三歳の時に父が急死し、父が脱サラして始めたばかりだった八百屋を母が引き継ぎ、周りの人に助けられながら姉と私を育ててくれました。朝まだ暗いうちから市場に仕入れに行き、夜遅くまで店を開け、休むことなく懸命に働いたしっかり者の母でした。
そんな母の様子が少しおかしいなと思ったのは新型コロナウイルス感染症が広がり始めた頃からでしょうか。高齢になってから母は配達には出ずに店番をするようになっていたのですが、外出自粛でお客さんもあまり来ずに、人と話すことが減っていました。そのせいかはわかりませんが、レジで300円を300万円と打ってしまって合計が合わなかったり、私達夫婦が配達に行っている間にコンロを使って鍋を焦がしたり、ということが続きました。他にもドラッグストアで同じ薬を何度も大量に購入したり、日課の散歩に行ったこと自体を忘れたり、何度同じ注意をしても理解してくれず、あんなにしっかり者だった母が変わってしまって、とてもショックでした。
現在母は、定位置のレジ横で店番をしています。本当はもう私達夫婦の配達の仕事だけにして、店は閉めようと思っていたのですが、夫が母の「仕事をしたい」という想いをかなえるために半分だけシャッターを開けて、少し商品を並べてくれています。常連さんは、母が何度同じことを聞いてもニコニコしながら同じ説明をしてくれますし、隣の奥さんは「買い忘れたものがある」などとあえて午前と午後に分けて、母の様子を見にきてくれたりするんですよ。母は本当にたくさんの人に助けられていると思います。とてもありがたいです。
母は、話すととてもしっかりしているんです。レジは間違うけれど、お釣りがいくらになるかすぐ計算できますし、知らない人から見ると元気な高齢者です。でも目が離せないと思うことがたくさんあります。
これからもたくさんの人にお世話になると思いますが、母らしく元気に過ごしてほしいです。
(症状には毎日波があり、穏やかな日も泣きたい日もあると語る智子さん)

●本人のキモチ
▽これからも自立して生活したい
林典雄さん

今年の初めに、ひらがなや簡単な漢字が思い浮かばないことがあり、すぐに病院に行きました。CT検査をした結果、脳の萎縮があり「だんだんひどくなっていくかもしれない」と医師から言われました。
これから症状がどうなるのか少し心配ですが、ケアマネジャーさんが訪問してくれたり、「何かあったらすぐに連絡して」と言ってくれたりするので心強いです。
週3日はデイサービスや「すこやかサロン(※)」に通っていますが、一人暮らしなので何もない日は一日中誰とも話さないこともあります。進行を少しでも遅らせるためにもっと色々な活動をしたいと考えています。
※下野地区の市民活動団体が運営する、高齢者の介護予防、交流、生きがいづくりを目的とした通所型サービス

●支援者のキモチ
▽自宅以外の落ち着ける場所を
良和(りょうわ)生活支援事業所ケアマネジャー 伊藤ターミエンさん

私たちケアマネジャーは、福祉サービスの計画を立てることが仕事です。認知症の人が、自宅以外の落ち着ける居場所を探す手助けをしています。本人が安心して過ごせそうな施設をいくつか試してもらい、施設での様子だけでなく、帰宅後の様子がいつもと違わないか、家族に確認してもらって通所先を決めていきます。そして時には、本人の気持ちを汲んだ支援内容になるように施設にお願いすることもあります。
家族の負担が大きいと自宅での生活ができなくなってしまうので、家族をサポートすることも重要だと考えています。家族は介護の悩みを周囲に打ち明けることができずに孤独を感じ、本人との意思の疎通が難しいことで疲れてしまう人もいます。「大したことじゃないから」と遠慮する人もいるので、話を聞くために訪問したり、「認知症の人と家族の会」などを案内したりして、独りじゃないということを分かってもらい、支えるようにしています。
ケアマネジャー、病院、施設などは随時連携を取っています。みんなで本人や家族を支えていくので、困りごとが大きくないうちに気軽に相談してほしいですね。

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