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《特集》京田辺自慢の特産物(2)

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京都府京田辺市

◆《Interview》玉露の生産者 匠(たくみ)の声
◇京田辺玉露を裏で支える「茶摘み姫」に感謝
京田辺玉露生産組合 飯岡玉露生産組合 組合長
米田五司さん(55)(飯岡)
令和4年度関西茶品評会(玉露の部)農林水産大臣賞受賞〔1位〕

《茶業の経歴や取り組みは》
家業を継いで玉露の生産に携わるようになったのは36歳の時で、それまでは会社勤めをしていました。茶摘みシーズン以外にも、夏は防虫作業、秋春は肥料やりとさまざまな作業があるため、年間を通じて何らかのかたちで玉露作りに汗を流しています。そのため、シーズン一度きりの収穫は、1年間の集大成といえます。
茶園に向かうときは、いつも真剣勝負です。お茶の木としっかり向き合って、弱っていないか、水が足りているかなどを慎重に確認しています。4~6月は非常に忙しいですが、これまで手を掛けてきた成果が現れるので、毎回楽しみです。

《茶摘みについて》
茶摘みは春に芽吹いた新芽だけを丁寧に手で摘みますが、品評会用の茶摘みは芽も小さく特に大変な作業です。私たちは茶摘みをしていただく方に敬意を表して「茶摘み姫」と呼んでいて、関東地方のほか、香港や韓国から来てくださる方もおられます。
私が茶業をなりわいにできているのは茶摘み姫のお陰です。とても大きな存在で、感謝の気持ちでいっぱいです。

《今後の目標は》
関西茶品評会では2回目となる農林水産大臣賞を受賞できましたが、今度は、全国で1位をとりたいですね。また、平成12年を最後に遠ざかっている全国茶品評会の産地賞を奪還したいです。茶葉は手をかけただけ良いものができるので、今後も研究を重ねて、より上質な玉露作りに励みます。

◇日本一を目指し、ライバルの八女(やめ)市で単身修行
京田辺玉露生産組合 組合長
山下新貴さん(35)(普賢寺)
令和4年度全国茶品評会(玉露の部)農林水産大臣賞受賞〔1位〕

《茶業の経歴は》
玉露の名匠として知られる祖父(山下壽一さん・名誉市民)の下で、農作業を手伝ってきました。ある時、シイタケ栽培で、常識からかけ離れた方法によってたくさん収穫できた経験があり、正解がない農業の面白さに気付きました。25歳の時、祖父の跡を継ぎ、茶業に携わるようになりました。

《茶業の取り組みは》
生産から加工(製茶)まですべてに携わっています。生産については、これまで感覚に頼っていたことをデータ化し、遮光の加減や肥料の量などを式で組み立てて理論的に取り組んでいます。データを残すことで、誰もが取り組みやすくなり、新規就農者のハードルも下げることができます。
また、茶工場には品評会に出品する市内すべての茶葉が集まってきて、信頼し合う仲間と製茶しています。一般的に、製茶する機械は自動化されていますが、私は1つ1つの芽の状態に合わせて、蒸す時間や温度などを調整しています。そのため、機械を触るときは、毎回神経を研ぎ澄ませています。

《玉露に懸ける思いは》
継いで間もない頃、京田辺玉露は全国茶品評会での優勝から長年遠ざかっていました。何とかせねばと思い、本品評会で20年間日本一をとり続けていた福岡県八女市に、アポイントも取らず、単身修行に出向きました。ライバル関係にありましたが、昔、祖父がつないだ縁などもあり、快く受け入れていただきました。
八女市に教えてもらうことに周囲からは反対の声もありましたが、持ち帰った知識や技術をみんなに共有したことで玉露の品質が向上し、遠のいていた農林水産大臣賞を再び受賞できるレベルに達することができました。

《今後の展望は》
茶葉の一部を、京田辺玉露生産組合で製品化して、ブランド価値を高めていくとともに、玉露の魅力を広めるため、試し飲みができるようティーバッグにして少量で販売することを考えています。
最近は海外からの注文も増えていますが、人件費や肥料代の高騰で苦しむ農家もたくさんいます。産地力の維持や後継者不足を解消するため、利益が上がる仕組みをつくっていきたいですね。

・昨年12月、米田さんと山下さんは市役所を訪れ、農林水産大臣賞受賞の喜びを上村市長に報告しました。

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