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自治体の皆さまへ

特集 だから、挑戦をつづける。(1)

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京都府福知山市

本市では2021年から、次世代を担う新たな産業・企業を創造し、福知山を経済面から盛り上げる起業家育成のためのプログラム「NEXT(ネクスト)産業創造プログラム」を実施しています。
起業家だけでなく、企業に所属しながら新たな事業を生み出そうとする人や、事業承継、まちづくりのリーダーをめざす人が参加する本プログラム。福知山公立大学との連携により、8か月間にわたる座学や実践を通じて起業に必要な知識やノウハウを学びます。
今月号では、2021年度に1期生としてプログラムを修了した3人の起業家のストーリーから、新たな挑戦を続ける原動力をひも解いていきます。

◆三和ぶどうに込められた地域の思いをつなぎたい
三和地域で万願寺とうがらしを栽培する株式会社Season(シーズン)は、三和ぶどうを使った「ぶどうジュース」の開発をきっかけに、1期生としてNEXT産業創造プログラムに参加しました。
「2020年に三和ぶどうの生産組合長さんが亡くなり、1ヘクタールものぶどう園が宙に浮きました。周りの生産者も高齢で引き取り手がなく、ぶどうの栽培経験がない万願寺農家の私たちにも声がかかったんです」
そう話すのは、社長の久保世智(くぼときのり)さん。はじめは、万願寺栽培の忙しさから、断る理由を探していたといいます。それでも、「三和では、時期になると大勢の人がぶどうを求めて行列をつくります。その多くが自分用ではなく、遠くに住む家族や友人に送るため。それを目の当たりにしたとき、この地域にはぶどうを通じて心を通わせる文化が根付いているんだと感じ、この活気や賑わいが失われてはいけないと、何とか農園を受け継ぐ方法を考えました」
そして辿り着いたのが、「ぶどうジュース」。ぶどう栽培は初心者ながら、試行錯誤を重ね、農薬を一切使わず自然の恵みだけで完熟させた、極上のぶどうジュースを完成させました。

○ブランディングへの迷いとプログラムとの出会い
「販売にあたり、実際どのように進めるべきか迷っていました」
久保さんは、当時の悩みとプログラムへの出会いをこう振り返ります。
「ブランディングや販路について福知山公立大学の教授に相談したところ、プログラムにも講師として参加されている日本のクラウドファンディング(※)の第一人者・板越(いたごし)ジョージさんを紹介していただいたんです。こんなに凄い先生がいらっしゃるならと会社としてプログラムへの参加を決めました」

○何度も繰り返し問われた商品への思いを付加価値に
実際にプログラムに参加し講義を受けた同社の安部大輔(あべだいすけ)さんは、学びを次のように振り返ります。
「プログラムでは、その道のプロから経営面での知識を学べるほか、徹底的に自分の思いを言語化することを求められます。何のための商品か、我々がめざす場所はどこか、何度も問われるんです」
あのときは落ち込んだなあと当時を笑顔で振り返る2人。
「当時は全然答えられなくて。決して何も考えてなかったわけではないんです。でも、思いは言葉にしないと伝わらないし、社員同士でも共有できない、そう気づかせてくれたのがこのプログラムでした」
2人は、初めて挑戦したクラウドファンディングでも、思いを言葉にする大切さを実感します。
「当初の想定価格は1本1800円。ほとんど利益は出ませんが、それでも高いと思っていたので、値上げできずにいたんです」
その背中を押したのは、講師陣のアドバイスでした。
「2人の思いや地域のストーリーを伝えられたら、このジュースは3000円でも決して高くない。その言葉を受け、値を上げたところ、開始2時間で目標を達成、最終的には目標の400%を達成しました」
思いによって商品の価値が変わり、共感してくれる人が全国にいることを知った2人。久保さんは「付加価値」という言葉の本当の意味が分かったと続けます。
「私たちの目的は売り上げではなく、ジュースを通じて心を通わせてもらうことです。今、そのメッセージがちゃんと届けられているのは、プログラムを通じて自分の思いを確かめられたから」
地域の思いを受け継ぎ生み出されたぶどうジュース。プログラムで得た自信を武器に、2人は今後も新たな商品開発に挑戦し続けます。

※クラウドファンディング
…不特定多数の人が資金を出す形で商品やプロジェクトを応援する仕組み

・株式会社Season(三和町辻755-1)
日本最大規模の栽培面積で、京野菜・万願寺とうがらしを年間60トン以上生産。2020年よりぶどう栽培を始め、ぶどうジュースをはじめとした様々な商品を通して「農」が持つポジティブな価値を発信するオリジナルブランド「Season Select(シーズンセレクト)」を2021年に立ち上げている。

問合せ:株式会社Season
【電話】45-8368

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