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《特集1》も〜っと知って欲しい 伊万里梨・伊万里牛(2)

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佐賀県伊万里市

■伊万里牛
▽伊万里牛とは
伊万里市および有田町内の農家が肥育した黒毛和種(月齢25カ月以上36カ月以下)のことを『伊万里牛』(※1)と呼びます。
高品質を誇る伊万里牛のルーツは但馬(たじま)牛にあります。但馬牛は、古くから優れた資質で知られている黒毛和種で、世界でも有名な日本のブランド牛の素牛(もとうし)として全国に渡っています。

▽歴史
市内で食肉目的で牛の飼養は昭和30年代後半〜40年代前半に、波多津町で、雌牛の『若齢肥育(※2)』が行われていたとの記録が残っています。昭和40年度に宮崎県で行われた共進会(※3)で、第一席最優秀賞を受賞していて、当時から肥育技術の高さが評価されていました。この頃から去勢牛肥育が主流となり、素牛は、宮崎県や大分県、鹿児島県などの県外産地から導入し、28カ月齢から30カ月齢過ぎまで肥育し出荷していました。昭和40年代には伊万里市農業協同組合の預託制度の発足や国の価格安定法が肉用牛にも適用されたことなどで、昭和60年の飼養頭数は約7500頭まで増加しました。
当時は、農家が飼養技術の研鑚を積み重ねたことで肉質の向上が図られ昭和59年度の全国枝肉共励会で最優秀賞一席を受賞し、その後も各共励会や共進会で農林大臣賞を度々受賞するなど、伊万里牛としての評価を高めていきました。
現在は、37戸の農家で約7500頭が飼養されていて、丹念に1頭1頭愛情込めて育て上げた伊万里牛は、全国的に知名度が高いブランド牛の一つとなっています。
(※1)『佐賀牛』、『伊万里産佐賀牛』、『佐賀産和牛』として販売されることもあります
(※2)生後6カ月ぐらいで離乳した素牛を約1年間肥育して出荷する肥育方法
(※3)産業の振興を目的に、産物などを集めて展覧し、優劣を品評する会。共励会も同じ

■生産者インタビュー
分かりやすく誰でもできるそんな仕組みが大切
肥育農家 株式会社松高牧場 代表取締役 松高良太郎さん(南波多町)
▽いざ牛の道へ
家業が肥育農家だったので、自然とこの道に進みました。
高校卒業して、農業大学校に1年通ったあとに唐津市の肥育農家のもとで1年間勉強させてもらいました。そして21歳の年に就農しました。

▽もっと牛の道へ
就農して2年が過ぎたころ、父から「やる気があるなら新しい牛舎を建てて、挑戦してみろ」と言われました。「やってやろう」と思って、土地をさがしたり、資金面を調整したり、準備だけで10年経ちました。ようやく平成29年に自分の会社を立ち上げてスタートすることができましたが、出荷を始めて約1年間は牛が大きく育っていなくて苦悩の連続でした。
自分で本を探して読んだり、農家の先輩に話を聞いたり、いろいろと勉強しました。あらためて、牛の生態から勉強しましたし、牛をよく観察するようにもなりましたね。
牛も生き物だから、人間と同じで大きく育つためには、安心やリラックスして過ごせる環境が大切なんですよ。例えば寝るための環境をよくしてあげるために細やかに床替えをしています。

▽気付いたこと
肥育が上手くいかなかったときから、与えるえさの量や治療の履歴の記録はきちんと残すようにしていましたね。それが今となっては良い方向につながっています。
記録を残してきたことが結果的に、誰でも作業ができる指針、いわゆるマニュアル化になりました。従業員が変わって新しい人が来てもすぐに仕事を覚えてもらえると思います。分かりやすく誰でもできる仕組みが大切です。

▽牛も人も同じ
牛舎では常時500頭を肥育していて、5、6人で世話をしています。牛をいつも観察しておくことを大切にしていていますね。いつもの状態をしっかりと観察しておくことで、何かあった時に「おかしいな」と気付きのきっかけにになります。例えば、牛もかぜをひくので、そのときは人間の症状に似ていて、体がだるそうにしていたり、食欲がなかったりとふだんと様子が違います。

▽良い牛を育てる
コロナ禍などの影響を受けて、えさ代などが高騰していて、経費的に苦しい状況が続いています。毎年、育てた牛を300頭ほど出荷しています。前年と比べて販売単価が下がっているので苦しいですが、少しでも品質の良い牛を出し続けていきたいです。

▽やっぱり伊万里牛
伊万里牛は、肉質がきめ細やかで柔らかく、色は鮮やか、脂肪の質も抜群で、甘みと風味がたっぷりあります。
伊万里を代表する特産品なので贈り物に選んでもらいたいし、伊万里市に住んでいる人にも、もっと食べてもらいたいです。誕生日やお正月、クリスマスなど特別な日は伊万里牛を食べてください。

■担当者が紹介も〜っと知って欲しいポイント
◆牛の個体識別番号を知っていますか?
国内で飼養される牛には、一頭ごとに個体を識別するための番号が割り振られています。個体識別番号といわれるこの番号は、牛肉の包装や精肉店などの見やすい場所に表示されていて、その牛の生まれた日や性別、育てられた場所などが分かります。
購入する牛肉の情報が分かれば、安心して食べることができますし、市内で生まれた・育った牛だと分かればさらに美味しく感じられるのではないでしょうか。
▽検索方法
家畜改良センターのホームページの『牛の個体識別情報検索サービス』に個体識別番号を入力することで検索することができます。
農業振興課 営農流通係
永尾涼

◆まだ楽しめます伊万里梨!
『幸水』や『豊水』の時期は過ぎてしまいましたが、まだ楽しめる伊万里梨があります。
『王秋(おうしゅう)』は10月中旬から下旬頃まで楽しめて、白く緻密でみずみずしい果肉と柔らかな歯触り、優しい酸味が特徴です。
『愛宕(あたご)』は11月上旬頃まで楽しめて、シャキシャキとした食感の大型種でほどよい甘さと優しい酸味が特徴です。
今からでも間に合うので、ぜひ食べてください!
農業振興課 営農流通係
西浩一郎

問合先:農業振興課
【電話】23-2557

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