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自治体の皆さまへ

特集 今日の天気は笑顔ときどき涙でしょう(2)

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兵庫県多可町


◆居場所を作りたい
「琉生が入院してからの1年2か月。いろいろな人に支えられたからこそ、人間らしく過ごせました。本当なら身も心もボロボロになっていた。」
1年2か月の間で、多いときは血小板の輸血を毎日、1日おきに赤血球の輸血が必要でした。
「顔も名前も知らないたくさんの人に、命を繋いでいただいた。寄附やチャリティーボランティアなど初めて知る世界でした。直接恩を返すことはできないけど、何かの形で他の人に恩返しをしたい。それを、恩送りって言うんだそうです。」
愛さんは、自身の経験をきっかけに、病気と闘う子どもたちやその家族の居場所を作りたい、と思うようになりました。チャイケモや子育てふれあいセンターのように、心がしんどいときに、拠り所になる場所。
「子育てふれあいセンターの岡本先生に相談したら、やってみたら!と背中を押してくださったんです。」
そして、12月1日、「れもんの木」は動き出しました。

◆チャイケモとの繋がり
神戸のポートアイランドに佇む「チャイケモ」。愛さんを通じて、チャイケモを訪問する機会をいただきました。
施設に着くと、スタッフの皆さんが笑顔で迎えてくれました。
琉生くんが大好きだった場所。玄関前には、愛さんが贈ったれもんの木がすくすくと育っていました。
れもんの木の活動で制作した病気と闘う子どもたちへのメッセージボードを囲み、愛さんとスタッフが家族のように笑い合います。
「ここは、私たちにとっての居場所でした。これからも、活動を通して少しずつでも支える側になれたら。」
れもんの木の活動のそばには、いつもチャイケモがあります。

◆レモネード・スタンド
「れもんの形の帽子!かわいい!」
スタッフが手作りした帽子を手に、愛さんは興味津々。
「今度、サークルで作ってみようかな。レモネードスタンドの活動でかぶりたいな。」
そういえば、どうしてサークル名が、れもんの木?レモネード・スタンドって何?今さら、疑問が湧いてきた。
『レモネードスタンド』調べてみると、レモネードを売ってその収益を、小児がん支援のために寄附するという活動でした。そこで目にしたのは、小児がんは1歳から14歳の子どもの死因原因の第1位ということ。
愛さんの作った「れもんの木」はこのレモネードスタンドに由来していました。

◆居場所は繋がる
「おはようございます!」
子育てふれあいセンターの隣にある「コークラボ」のドアを開けると、愛さんが真剣な顔でコークラボのメンバーから教わっていました。
「あれ?それってチャイケモで見たれもんの帽子!」
愛さんが、チャイケモで教わったれもんの帽子の作り方をもとに、コークラボのメンバーが、早速制作に取り組んでいました。
一週間後に再び訪れると、れもんの帽子が山積みに。
同じ建物にありながら、どこか交わるきっかけがないように思えた2つの居場所が交わる。
それは、ドアを開け放ち、ひとつに繋がった家のような感覚でした。

◆少しずつ、前へ
「レモネードいかがですかー!」
琉生くんの兄・凛生くんの元気な声が響く。
5月21日に開催した子育てふれあいセンターのイベント「ファミリーフェスタ」で、れもんの木は初めてレモネードスタンドを行いました。
「初めてで課題もあったけど、たくさんの人に、れもんの木のこと、小児がんのことを知ってもらえるきっかけになったと思います。」

◆「れもんの木」サークルメンバー 篠原聡美さん・悠莉さん
以前から子育てふれあいセンターを利用していて、れもんの木に来てみたら、と岡本先生から声をかけてもらいました。息子の悠莉は、生まれたとき1,900g台で、小さく産まれ、生まれてすぐに大きな病院に転院しました。
そこで、心臓の血管の異常が見つかりました。うまく血液が送れない、だから栄養が届かない。これまでに大きな手術も経験しました。
ここに来たら、病気のことも悩みも堂々と話せるし、しゃべりやすい。情報交換もできるし、何よりわかり合える。
とても落ち着く場所です。

◆「チャイルド・ケモ・ハウス」
代表理事 堀内正美さん(左)
副理事長 田村亜紀子さん(右)
小児がんと闘う子どもたちや家族に、少しでも日常を感じてもらうためのお手伝いができたらと思いこのチャイケモを運営しています。
小児がんということを言えずにいることは、とても辛いこと。がんになっても笑顔で育ってほしい。奥嶋さんのような活動を通して、いろいろな人が繋がって、理解が深まっていくことを願っています。
人それぞれ、得意不得意があります。無理せず、こんなことならできるよ、というボランティアの輪がどんどん広がっていってほしいです。
※詳細は本紙をご覧ください。

◆「みんなの居場所コークラボ」 藤井環さん
繋がりって不思議ですね。
縁というか、絆が生まれます。
コークラボは、みんなが過ごしやすい場所を目指しています。今回れもんの木の活動を通して、新しい交流が始まりました。
最近では、学校に行けない子どもたちもホロッと来てくれるんです。
アドバイスとかじゃなくて、愚痴を聞いたり言ったりしながら、気を遣わずに過ごせる場所。ボランティアは楽しまないと長続きしません。
赤ちゃんからお年寄り、障がいのある人、誰もがここで集える場所を目指します。

問合先:総務課(地域共生社会づくり推進担当)
【電話】32-2382

◆ひとりじゃない!みんなで繋がろう れもんの木
医療的ケア児や難病の子どもを持つ親の居場所としてお話会などを開催しています。年齢、居住地は問いません。ぜひ気軽にお越しください!

◇れもんの木の献血活動
輸血で命を繋いでもらったから。
琉生くんの発病後、健太郎さんは初めて献血に参加しました。
たくさんの輸血が必要だった琉生くんの体には、名前も顔も知らない人たちの優しさが流れていました。
「恩送り」
愛さんは、れもんの木の活動でも、献血会場を訪れ、ありがとうを伝えています。

問合先:
子育てふれあいセンター れもんの木(代表)奥嶋
【電話】32-2816

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