■野村良太さん「北海道分水嶺積雪期単独縦断」 諦めず、やりたいことをやり続ける
6月3日、日高文化体育館で27回目となる2022「植村直己冒険賞」授賞式・記念講演会を開催しました。前人未到の北海道分水嶺積雪期単独縦断を達成した野村良太(のむらりょうた)さんを招き、メダルや副賞を贈呈しました。国内での冒険で冒険賞を受賞するのは初めてです。野村さんは授賞式に続いて行われた記念講演会で、約600人の来場者に向けて、冒険のことや当時の心の変化などを語りました。失敗も自分の弱さも全てオープンにする野村さんの言葉に、来場者は引き込まれていました。
◇植村さんの謙虚さ、学びの姿勢を目標に
まずは植村直己さんへの思いについて「リアルタイムでは知らない世代なので、歴史上の人物、社会の授業で習うようなすごい人だというイメージです。植村さんの謙虚さや学びの姿勢をやめないところが素晴らしいところで、自分もそういう人間になれるようにがんばりたいと思います」と語った野村さん。
また、冒険賞を受賞すること、受賞者の務めについては「諦めないこと、やりたいと思ったことは何回でもやること、失敗してもなぜ失敗したのか、どうしたら次はできるのか考えながらやることがとても大切なことだと思いました」と決意を述べていました。
◇自分の弱さを自覚し、やりたいことに真摯に取り組む
冒険中、野村さんはずっと単独行について考えていました。「単独行でしか味わえないシンプルさと奥深さ、自分と向き合う時間の長さが魅力。しかし、自分の弱さを無視するわけにはいかない。単独とは、1人で山に行くということはどういうことか。誰の支えもサポートも受けないというのは本当はどういうことなんだろうか」
結果として、食料の不足や装備の故障のため、途中で仲間からの補給を受けました。
「大事なことは、助けを求めたときに支えてくれる仲間がいること。そのありがたさを感じたことでした」との結論に、野村さんは至りました。
◇好奇心と体力と運
「大人になってから目標を達成するために、中学生の時にやっておいたほうがいいことはありますか」地元中学生からのこの質問に、野村さんはこう答えました。
「最近何かで読んだ話ですが、何かを成し遂げる人には必ず三つ備わっているものがあります。好奇心と、その好奇心に対してやり続ける体力、最後に運です。中学生なら、好奇心が赴くままにとにかく何かに手を出し、何か理由をつけて諦めないで、やりたいと思ったことを、とにかくやり続ける。そのための体力を身につけていれば、やりたいことができたときにがむしゃらにできるのではないかなと思います」
◇冒険のその後
この挑戦から1年半近くが経ち、野村さんは、次のやりたいことに挑戦しています。「世界の大きい山に行ってみたい」そう思ったときに声をかけられ、ヒマラヤ遠征に参加しました。しかし、残念ながら登頂は叶いませんでした。
「このまま次の挑戦をしなければ、今回の遠征は失敗になってしまう。今回の失敗の経験を生かし、いずれ成功すれば、失敗は失敗ではなくなります」
好奇心を持ち続け、やりたいことに真摯(しんし)に向き合う野村さんの挑戦は、これからも続きます。
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