■基本方針
◇市政を取り巻く環境
政府は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づく補正予算と、「歴史的な転換点の中、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れをつかみ取る予算」とする令和6年度当初予算を一体として、三位一体の労働市場改革による構造的な賃上げの実現、官民連携による投資拡大、グリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、少子化対策や子ども政策の充実などを含む包摂社会の実現などによる新しい資本主義の加速や、防災・減災・国土強靭化など、メリハリの効いた予算を通じ、新たな経済成長の軌道に乗せていくことを目指すとしています。
また、「経済財政運営と改革の基本方針2023」では、経済・財政一体改革を着実に推進するが、「重要な政策の選択肢を狭めることがあってはならない」とし、民需主導の持続的・安定的な経済成長を実現するため、「経済あっての財政」の考え方の下、デジタル社会に対応し大胆な行財政改革に取り組む。そして、財政健全化に向けて取り組むとしています。
国の令和6年度一般会計予算は、過去2番目の規模となる112兆717億円となり、税収は過去最高の69兆6,080億円と、前年度当初より約1,680億円の増加となりました。しかし、公債依存度は31.2%と悪化し、債務残高もGDPの1.8倍と、国の財政は厳しい状況にあると認識しております。
◇当市の財政状況
当市の財政状況は、これまでの行政改革の取り組みにより、財政の健全度を示す財政指標は改善基調にあるものの、近年は多額の基金を繰入れる財政運営となっておりますが、ふるさと寄附の支えにより、一定の基金残高を維持しているところです。
歳入は、ホタテ禁輸問題があるものの漁業をはじめとする第一次産業が比較的に好調なことから、高い水準を維持しています。
一方、歳出では、物価高により経費が増加傾向にありますが、デジタル化の推進により、事務事業の効率化を図りながら、出産・子育て支援の充実、地域医療や公共交通の体制維持、地域産業の活性化、老朽化する公共施設やインフラ施設の更新など、財政規律を保ちながら取り組んでまいります。
令和6年度の一般会計当初予算は283億4,237万9千円で、対前年度比プラス16億9,699万6千円、6.4%の増、6つの特別会計は総額で95億7,785万6千円、対前年度比マイナス1億1,886万8千円、1.2%の減となりました。
また、公営企業会計は3つの事業会計の総額で50億4,509万5千円、対前年度比マイナス7,751万1千円、1.5%の減となったところです。
■今年のまちづくりについて
令和6年度は、地域医療の充実や猛暑対策、人材の確保、公共交通の維持、地域経済の活性化など、総合計画を基本として、5つの観点からまちづくりに取り組んでまいります。
◇ひとにやさしく、ひとを育むまちづくり
1つ目は「ひとにやさしく、ひとを育むまちづくり」です。
地域医療では、オンライン診療が可能な医療MaaSにより、通院困難者や医師の負担軽減を図るとともに、引き続き、救急医療体制の確保と開業医の誘致に努め、医療提供体制のさらなる充実を図ってまいります。
また、不妊治療への助成や、妊婦と産後の母子に対する支援体制の充実に加え、国民健康保険加入者においては、人間ドックの助成対象年齢の拡大とともに、生活習慣病の予防のため特定保健指導の充実を図り、市民の健康維持に努めてまいります。
子育て環境では、家事、育児に不安を抱える家庭への訪問支援に取り組むとともに、こども発達支援センターの移転検討を進め、施設の機能強化を図るほか、医療費無償化の対象を高校生まで拡大し、子育て世帯のさらなる負担軽減を図ってまいります。
このほか、生活協同組合コープさっぽろが開設した親子のリフレッシュスペースでのイベント開催など官民が連携した取り組みを展開し、子育て環境の充実を図ってまいります。
人材の確保に向けては、再就職を希望する看護師、介護従事者、障がい福祉従事者が円滑に復職できるよう研修に取り組むとともに、復職支援金を給付するほか、介護事業所における奨学金の増額を支援してまいります。
学校生活では、特別な支援が必要な児童生徒の状態に応じたきめ細かな支援を充実させるとともに、不登校の児童生徒が通級する教育支援センターにおいては指導員を増員し、それぞれの段階に応じた適切な指導に努めてまいります。
このほか、市内に在住する外国人へ、網走の歴史や文化、魅力を学ぶ機会を提供し、市民と交流できる場の創出に努めてまいります。
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