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-特集-ほっといたらあかん。「家」のこれからを考える(2)

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和歌山県紀の川市

■Interview01 空き家問題は所有者だけの問題ではない
川口吉雄さん
紀の川市空家等対策協議会会長。土地家屋調査士、行政書士の資格を持ち、市の空き家対策に尽力。

私たち「紀の川市空家等対策協議会」の活動は、倒壊の危険や衛生上の問題がある空き家の所有者に対し、市が助言や指導などの空家特別措置を行うことができる「特定空家等」の認定を行うことです。解決に向けて動いていますが、所有権や費用面で問題は山積み状態です。
紀の川市内に住んでいる空き家所有者は、対策に協力してくれる人もいますが、県外に転出してしまった人は、比較的空き家を放置したり、気にかけていないことが多いように感じます。空き家問題は、所有者や親族だけの問題ではありません。例えば、通学路にある空き家。いつ倒壊してもおかしくない空き家の横を子どもたちが通学しています。ほかにも、空き家が倒壊し、住民の主要道路を塞いでしまうなど、地域住民の生活に大きく関わってきます。ある地域では、所有者が対策を講じない空き家に瓦屋根の飛散防止策を行ってくれています。管理されていない空き家を現状のまま放置すると、将来的に問題が起こる可能性が高く、自分の子どもや孫、近所に住む人に迷惑がかかります。そうなる前に対処することが必要です。
空き家の取り壊しについては、前向きに検討してくれる所有者もいますが、費用や所有権などの問題があり、とんとん拍子には進みません。土地と建物の名義が違い、取り壊したくても取り壊せない空き家や、費用が高く、すぐに解体できない所有者も多くいます。以前、解体後の土地を譲渡する代わりに解体費用を隣人が支払ったという事例もありました。近隣に迷惑をかけていると感じていれば、一度相談してみるのも良いかもしれません。
空き家の考え方も「除却」から「活用」へと変化しており、法律の改正が行われています。活用できるうちに、何らかの手立てを打つことが空き家の減少につながる一歩になるのではないでしょうか。

▽特定空家等とは…
・倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
・飛散や異臭の発生など、著しく衛生上有害となるおそれがある状態
・適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態
・周辺の生活環境を乱している状態

▽認定されると…
所有者に適切に管理をするように助言や指導を行います。それでも改善が見られない場合は勧告や命令を行います。所有者が命令に従わなければ、最大50万円以下の過料に処される場合があります。また、住宅用地の特例措置が適用されなくなり、税金の負担が増えることもあります。

▽空家特別措置の流れ…
1.空き家の調査
2.特定空家等に認定
3.助言・指導
4.勧告(住宅用地の特例措置から除外)
5.命令(違反すると50万円以下の過料)
6.行政代執行(所有者への費用徴収)

■Interview02 終活は死にじまいではない。人生を豊かにするもの
斎藤健一さん
一般社団法人紀州終活協議会理事。税理士、行政書士の資格を持ち、さざまな面から終活をサポート。

紀州終活協議会では、セミナーや相談会などの活動を行い、保険や相続など、終活全般の話をしています。
終活と言われると死にじまいのイメージがあると思います。しかし、終活は決して死にじまいではありません。「相続で子どもたちがもめたらどうしよう」「ペットは私がいなくなったらどうしたらいいの」など、人はそれぞれ不安を持っています。その不安を減らし、その先の人生を豊かに生きていくために行うことが終活と考えています。保険の見直しも立派な終活のひとつ。自分で意識して行動に移すことが大切です。
終活における「住まい」といえば「片付け」です。亡くなった後のことを考え、身辺や財産の整理を行っている人は多くいますが、先延ばしにしがちなのが、「身の回りの片付け」です。当然亡くなった後も物が多ければ多いほど、親族の負担になり、片付けに手間と時間がかかるため、売却や賃貸ができず、空き家になってしまう可能性もあります。そこで、私たちがお勧めしているのは、家族構成が変わったタイミングでの片付けです。例えば、子どもが家を出たタイミングで子ども部屋を片付けるなど、断捨離するタイミングとしては最適です。年齢的にも動けるうちに片付けておくことがポイントです。
また、「エンディングノート」に不動産などの情報を書いておくのもひとつです。亡くなった後、相続人が困らないよう、登記済権利証や契約書を置いている場所などを記載しておくことで、スムーズに登記を変更することができます。
今後のことを考え、エンディングノートに書き留めておくことは、自分の「これから」を考えるいいきっかけ。自分らしく生きていくためにも、ぜひ終活を始めてください。

▽那賀地区公民館講座「将来に備えて終活講座」
参加者の声:終活について、さまざまなことが学べるので、いい勉強になります。
自宅については、子どもたちが都市部に住んでいるので、今後空き家になる可能性があります。迷惑がかからないように、自分が元気なうちに整理し、売却できれば子どもの近くに引っ越したいと考えています。

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