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自治体の皆さまへ

特集 食でつながる子育ての輪(2)

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埼玉県加須市

■加須 子育て応援フードパントリー
奇数月の第3土曜日に開催。スタッフ、ボランティア合わせて20人ほどで運営。毎回70世帯ほど利用している。

「お菓子のつかみ取りやっていってね」。子どもたちに声をかける梅澤さん。周囲には“まみぃさん”と呼ばれています。いつもは、他の食品と合わせて袋に入れて配っているお菓子。夏休み期間中に臨時でパントリーが行われたこの日は、暑い中、来てくれる子どもたちを楽しませようと、手製の箱でつかみ取りにしました。まみぃさんは、うまく取れた子にも取れなかった子にも、持ち帰り用の袋におまけのお菓子を入れて渡しています。
まみぃさんが、加須フードパントリーでボランティアを始めて3カ月ほどたったころ、以前に1回だけ会った小学校高学年の子が「まみぃさん」と話しかけてくれたそうです。「名前を覚えてくれたことがともてうれしく、続けるきっかけとなりました」。今、まみぃさんは加須フードパントリーの代表となっています。名前を覚えてくれた子は高校に入り、パントリーの手伝いもしています。
「利用者さん、パントリーの卒業生やボランティアの皆さんの協力があって、長く活動できています」。
まみぃさんが活動の原動力を教えてくれました。
「やっぱり子どもが大好きだから。私は子どもたちと、ママたちと遊びたいんです」。

◇利用者の声
Cさん:少し遅れそうなときに連絡すると待っていてくれたり、忙しくて受け取りに行けないときに、持ってきてくれたこともあったりと、とても助けられています。だから、利用者も多いのかも。
Dさん:食品をもらえるだけでなく、家庭や子どもの進路相談など、色々な話を聞いてくれることがありがたいですね。

■Interviewee 2
◆加須市子育て応援子ども食堂連絡会
戸恒 和夫さん
加須市子育て応援子ども食堂連絡会事務局長

◇連絡会について
加須の子ども食堂の特徴は、それぞれがつながり合い、協力しながら運営しているところです。初めに立ち上がったすくすく広場を中心に活動が広まり、今は5つの食堂があります。
コロナ禍で余った学校給食の食材提供を受けたとき、子ども食堂とフードパントリーとのつながりも生まれました。その後も連絡を取り合い、協力してきたことが、連絡会という形になりました。

◇市民の方に
みんなの力で子どもを支えていくこと、これが一番大事だと思います。
子どもたちにとって、街に知り合いがいることは、大切なことだと思います。昔よくいた近所のおじちゃんやおばちゃんのような、地域の力も取り戻していきたいですね。

■つくしの家
毎週火曜日の夕方に開催。10人ほどが利用する。金曜日にお弁当提供、日曜日にランチパーティーなども行っている。

「こんにちはー」。玄関から子どもたちの元気な声が聞こえてきます。「はい、どうぞー。いらっしゃい」。吉田さんも大きな声で応えます。
ここは「つくしの家」。南町で営まれる子ども食堂。やって来た子どもたちは、スタッフが食事を準備する間、準備を手伝ったり、夏休みの宿題をしたり、オセロをしたりとそれぞれが思い思いに時間を過ごします。
活動のきっかけは、平成29年。学校応援団を務める吉田さんは、PTAから「朝食を食べて来ない子どもがいる」と相談を受けます。子どもの食事を何とかしたいと思い、月に2回、無料で夕食を提供し始めます。当初、吉田さんの自宅で始めた食堂は、子どもが増えるにつれ場所を移し、現在は戸建てのアパートで行っています。
食堂に通う子どもたちが「吉田のおじちゃん」と声をかけてくれること、子どもたちの成長を間近に感じられることが何よりの喜びと言います。
「大げさでなく、自然体で手間をかけ過ぎず、できることをやっていきます」と穏やかに、そして、力強く語ります。

■北小浜みんなで子ども食堂
毎回80食ほどを提供している。子どもは100円、大人200円、一家族上限500円。

毎月第4土曜日の朝、午前9時。北小浜団地集会所で、お昼に配る弁当の準備が始まります。この日のメニューは「夏の三色丼弁当」。集まったスタッフ全員で手順を確認し、分担して準備を進めます。みんな忙しそうに動き回っていますが、合間に笑い声も聞こえてきます。
お昼になると、予約したお弁当を取りに、ぞくぞくと人がやって来ます。「北小浜みんなで子ども食堂」の名前のとおり、団地に住む人は誰でも利用でき、高齢者も多く利用しています。自分で取りに来られない人、一人で運ぶのが難しい人には、スタッフがお手伝いすることも。
平成30年に2回行われた子ども食堂。その後、担い手がいない中、「だったら、私がやろうと思った」林さんが代表となり、15人ほどのスタッフで運営しています。お弁当の配布が終わった後、スタッフみんなで食事を取りながら、ワイワイと次回のメニューを相談します。
林さんに活動の苦労を尋ねると「月1回を確実に継続すること」と神妙な面持ちで語り、すぐに破顔して「でも、待っている人がいるから」と続けます。

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