天才絵師の作品蕨にあり ─No.96─
■暁翠筆「紫式部・清少納言図」絹本墨画彩色 軸装 双幅
本図は暁斎の娘・暁翠(きょうすい)(1868~1935)による作品です。右幅(うふく)の紫式部(むらさきしきぶ)が羽織る袿(うちき)という上着は茶系の落ち着いた色、もう一方の清少納言(せいしょうなごん)の袴(はかま)は鮮やかな緋(ひ)色と、両者の人柄の違いを色調によって描き分けています。
また、両図は菊池容斎(きくちようさい)が偉人の逸話と肖像をまとめた墨すみ摺ずりの版本『前賢故実(ぜんけんこじつ)』を基にしていますが、暁翠は紫式部の書棚を反対に移して構図を整え、平安女流文学の双璧が対面し、互いを引き立て合うよう、独自の工夫を凝らしています。
※本作品は現在の展覧会で御覧いただけます
河鍋 暁斎(かわなべ きょうさい) 天保2年(1831)~明治22年(1889)
現在の茨城県古河市に生まれる。浮世絵や狩野派を学び、江戸・東京の庶民から人気を博す。明治9年、万国博覧会に肉筆画を出品。14年、内国勧業博覧会で日本画の最高賞受賞。娘の暁翠も日本画家。
■河鍋暁斎記念美術館 開催中
企画展「国際博物館の日記念暁斎・暁翠物語絵の世界」展
同時開催特別展「暁斎没後135年『暁斎画談』で振り返る暁斎の逸話」展
開館:午前10時~午後4時
場所:南町4-36-4
休館:火・木曜日、26日~末日
入館料:一般600円、高校生・大学生500円、小・中学生300円、65歳以上500円
※65歳以上は年齢の分かる物、学生は学生証のご提示を
詳しい内容は館ホームページを御覧ください
詳細:同館
【電話】441・9780
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