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ネヤガワひと物語 vol.80

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大阪府寝屋川市

「えらいもの見つけた!」巨大恐竜の化石発見
化石研究家 高田 雅彦(たかた まさひこ)さん(60歳・池田東町)

三重県鳥羽市の海岸に転がっていた岩は、後に〝鳥羽竜(トバリュウ)〟の愛称で呼ばれる草食恐竜の化石でした。「国内最大級」と研究者を驚かせた27年前の大発見に、高田雅彦さんは「えらいものを見つけたという思いでした」と振り返ります。

■山で海の生物発見に衝撃
化石と出会ったのは20歳のときです。バイクで海釣りに行く途中で道に迷って休んでいると、「今ごろ来ても遅いぞ」と地元の男性に声をかけられました。そこは貝塚市の蕎原(そぶら)地区という化石マニアに有名なところで、「最近もたくさん化石が見つかった」といいます。
試しに道路脇の崖で採取した石をパンク修理用のハンマーでたたくと、貝殻の化石が現れてびっくり。約6800年前に絶滅した二枚貝と分かり、「海の生き物が山から出てくる意外性に衝撃を受けました」。

■「太古の姿にわくわく」
週末はハンマー持参で山に行くことが多くなりました。持ち帰った化石は先をとがらせた五寸くぎで表面を覆う岩を取り除きながら、「よみがえる太古の姿にわくわくしました」。
淡路島でオウム貝に似たアンモナイトが見つかると、夜中にバイクで出発。まだ明石海峡大橋は開通しておらず、フェリーで島に渡りました。平成2年には通い慣れた蕎原地区の造成地で、海トカゲの仲間「モササウルス」の背骨を発見し、ますます化石にのめり込みました。

■「恐竜の骨?本当なら大変や」
それから6年後の8年7月14日。高田さんは仲間3人と志摩半島の鳥羽市の海岸を訪れました。歩き始めて約2時間。波打ち際に黒々とした岩が転がっていました。「木の化石?」と仲間に見せると「これは骨や」と指摘。「恐竜なら大変や」と三重県教育委員会に連絡したのです。
鑑定の結果、後ろ足のすねの骨の化石と判明。1億3800万年前(白亜紀前期)の地層などから多数の化石が見つかり、体長16m~18mと推定される大型草食恐竜ティタノサウルス類と特定されました。学名はまだなく〝鳥羽竜〟と命名。発見場所は観光スポットになりました。

■2年前に発見の予感
実は大発見を予感させる出来事が2年前にありました。志摩半島と同じ年代の地層がつながる徳島県勝浦町で中型草食恐竜の歯が出土。「紀伊半島でも恐竜の化石が出るのでは」と淡い期待を抱いていました。
いつもは単独行動が多い高田さんでしたが、「今回は皆で行った方がいいことがありそう」と思い、4人で初めて現地を訪問。タイミング良く潮が引いて波打ち際を歩くことが出来るなどの条件もそろっていましたが、「まさか本当に恐竜の化石が見つかるとは思っていませんでした」と自身が一番驚いたそうです。

■「化石の面白さ伝えたい」
その後、三重県の調査団に加わった高田さんは中国の専門家など多くの研究者と交流。現在は「化石と出会い人生が変わった」というゆかりの地の貝塚市立自然遊学館で、客員講師として収集資料の整理やアンモナイトの標本制作などのイベントを企画しており、「古代のいろいろなことを知ることができる奥深い化石の面白さを伝えたい」と話しています。

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