東日本大震災を語り継ぐため市民図書館に設けた「3・11震災文庫」。所蔵する約1万冊から、よりすぐりの本をご紹介します。
■未来に伝えていくために
仙台市社会学級研究会顧問、防災士 若生 彩
○「あの時、子どもだった私たちから伝えたいこと―子どもの視点で伝える震災漫画(全3巻)」
井上きみどり/著
公益社団法人3.11メモリアルネットワーク 刊
東日本大震災当時、小学生から高校生だった6人の子どもたちの体験に基づいて描かれた漫画です。震災後9日目に80歳の祖母と一緒に救出された高校生、指定避難所で津波に遭った小学生の話など、丁寧な取材を基に、それぞれの思いに寄り添って、描かれています。
これからの子どもたちへの伝承を考えた時、分かりやすい絵と簡潔な言葉で情報を伝えてくれる漫画は、心に響く伝え方の一つだと思うのです。昨年3月には旧野の蒜びる小学校(現在は防災体験型宿泊施設「キボッチャ」)前に、井上先生の漫画で描かれた震災伝承看板が作られました。
未来につなぐ新しい伝承のカタチとして、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。
○「みやぎ3・11『人間の復興』を担う女性たち―戦後史に探る力の源泉」
浅野富美枝/著
生活思想社 刊
今の社会は「良くしよう」と努力してきた人たちのおかげであることや、自分ごととして防災・減災・復興に関わることの大切さに気付かせてくれる本です。ジェンダーイコールに向けて行動する女性たちの熱い思いに、たくさんの学びと気付きをもらえます。仙台防災枠組2015-2030にも「女性と若者のリーダーシップの促進」が必要とうたわれていますが、仙台市地域防災リーダーに占める女性の割合は、まだ3割に至っていません。超高齢社会・社会のデジタル化が進む中で、これからの地域防災について考えながら再読しました。
巻末の、戦後から続く年表には災害と社会、女性たちの歩みが書かれていて興味深いです。
紹介した本は、市民図書館でご覧いただけます
問合せ:市民図書館
【電話】261・1585
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