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[特集]これからも、沢スギと。(2)

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富山県入善町

◆みんなの力で未来につなぐ
かつては人々の暮らしを支え、今も美しい風景と新たな発見をもたらしてくれる沢スギ。愛する沢スギを未来につなぐため、力を尽くす皆さんを紹介します。

◇目川福寿会
・杉原 敏夫(としお)さん(目川・73歳)
・柳原自治会 柳平 圭司(けいじ)さん(吉原・62歳)
2団体共同で、愛護少年団の皆さんと、年2回のスンバ(スギの葉)拾いや草刈りを昭和49年から続けています。子どもたちに昔の沢スギの様子や保全の大切さを伝える活動にも尽力しています。
これまで携わってきてくれた地域のみなさんの努力のおかげで、ことしは県の環境功労表彰を受賞できました。
かつての杉沢は、子どもたちの遊び場でした。町の将来を担う子どもたちが、沢スギの楽しさや大切さを学べるよう、若い世代の人も巻き込んだ活動を模索していきます。

◇町文化財保護審議会委員 黒部川扇状地研究所
・本瀨 薫(かおる)さん(春日・82歳)
子どものころは春日にも沢スギ林があり、その中を歩いて学校に通うほど身近で親しみ深いものでした。
植生調査を通じて、長年沢スギを見守り、乙女キクザクラを発見できました。沢スギの保存を叫んだ恩師の想いが心に残り、続けてこられましたね。
杉沢の沢スギは、林内外ともに50年前とは環境が変わっています。今後は、沢スギ林の成り立ちと価値をもっとたくさんの人に広めて、多くの知恵や協力を得ることで、できるだけ指定当時に近い沢スギ林に戻していきたいですね。

◇入善西中学校 2年 笹島 浩裕(こうゆう)さん、飯野小学校 6年 笹島 浩聖(こうせい)さん
小学1年生のころから、二人で定期的に沢スギの動植物の調査をし、毎年の自由研究で発表しています。
数年前、林内で「黄金に光る水たまり」を発見。各所の協力を得て調査し、それが「ヒカリモ」という珍しい藻類で、自然発生で光る状態を見られる北限は沢スギであることを突き止めることができました。
沢スギがあるのは、先人の努力のおかげ。今後も二人でヒカリモをはじめとした林内の研究を続け、沢スギの魅力を広めることで、沢スギを守る仲間を増やしたいですね。

◇上青小学校 6年 文化財愛護少年団 団長
・三谷 結人(ゆいと)さん
上青小学校では、全学年が毎年2回、杉沢の沢スギで体験活動を行っています。
1~4年生の間は、地域の人に習って、林内の植物で笛を作って遊んだり、スギの切り株の年輪や太さを観察したりして、沢スギに親しみます。
5・6年生は、スンバ拾いや植樹をします。去年の6年生の、意欲的に活動する姿を見て、自分も沢スギのためにがんばりたいと思いました。
沢スギは大好きな場所。秋の愛護活動では、5年生にこの気持ちを引き継げるよう、団長としてがんばります。

黒部川扇状地の豊かな湧水に育まれ、人々が手を施したことで、多くの恵みをもたらしてくれた沢スギは、町の大切な宝物。
時代の移り変わりの中で、人の手で育てる「生活の森」から、人の手で守る「神秘の森」へと姿を変えてからも、地元住民や愛護少年団、ボランティアなど、多くの人の力によって守られてきました。
台風による大規模な倒木や、スギ以外の樹木の繁茂といった林内の変化、地球温暖化の影響など、沢スギを取り巻く環境は50年前とは大きく変わっています。
変わりゆく中でも、豊かな自然やそこに集う動植物が訪れる人を癒し、「入善乙女キクザクラ」や「ヒカリモ」といった新たな発見ももたらしてくれる沢スギ。
この先の未来に、この宝物をつないでいくには、これまで同様、多くの人が沢スギに親しみ、関わりを持つことが大切です。
まずは、秋の見ごろを迎える「杉沢の沢スギ」に足を運んでみませんか。

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