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自治体の皆さまへ

令和5年度 所信表明の概要(3)

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山口県周南市

■人口急減社会における未来が生まれるまちづくり
周南市長 藤井律子

5.デジタル・AI化で行う人口減少対策の加速
人口減少社会における市役所は職員の絶対数が減る中で、従来の市域を維持した上で、社会資本の充実や住民の安心安全と利便性の確保に加え、新たな行政ニーズにも対応していかなければなりません。
この厳しい状況で頼りとなる力は、デジタルやAIという人間の知恵が生み出した科学技術にあると思います。これは、人力とは比較にならない速さと内容で物事を処理して予見まで行う能力を持ち、今後さらに進化するといわれています。
私は、これまでのアナログ的な業務の進め方の良いところを伸ばしつつ、この科学技術を積極的に採用することで、行政サービスの持続可能性を追求し、行政コストの削減にもつなげていきたいと考えています。
デジタル・AIの導入の加速は、中山間地域や周辺市街地における地域交通や物流、そしてオンライン診療などの地域医療に新たな可能性を開きます。また、「書かない窓口」をはじめとするスマートで効率の良い行政サービスの進展や、安心安全のためのさまざまな情報の提供と管理が可能となり、幅広く市民益に通じることと思います。デジタルデバイドへの対策を支所、市民センター単位で地域の実情に合わせて行っていくこと、デジタル・AIの導入の意義をしっかり説明して市民の理解を高めることが必要です。
幼少時からコンピューターや携帯電話が生活とともにある世代が、社会を支える時代となっています。人口減少社会を乗り越える有効なツールとしてデジタル化やAI化を捉え、世代を超えた理解の下で加速していきたいと考えます。

6.人口減少対策をまちづくりにつなげる視点
人口減少社会を前提としたまちづくりは、「まちの持続可能性を第一に地域産業の成長と市民生活の向上」を図ることが目的となってくると考えています。
私たちは、脱炭素やSDGs、ダイバーシティやAIなどにより大きく変化していくことを共通認識として、今後は最新の情報を共有しながら、さらに理解を深めていかなければなりません。
また、既存の公共インフラをまちづくりに生かしていくという視点も大変重要になってきます。
例えば、まちの魅力の創出という視点からは、今ある美しい樹木の並木道にベンチや休憩所、交流の場などを整えることで「文化の薫るまち歩きのゾーン」を形成することができます。
さらに、安心安全なまちづくりの視点からは、周南西部地域の中核病院として新南陽市民病院を位置づけ、将来の新興感染症などにも備える機能の拡充は大変重要であると考えています。
そして、アグレッシブなまちづくりという視点からは、防災道の駅の選定を機に道の駅ソレーネ周南を家族が自然の中で楽しく過ごせ、健康づくりの場にもなるような新たな機能を拡充したいと思います。
こうしたさまざまな視点を打ち出しながら、人口減少対策としての有効性を追求していきたいと思います。

▽おわりに――
人口急減社会の到来は多方面でこれまでの価値観を大きく揺るがし、地域に「変わること」を求めています。
この「変わること」を求める大きなエネルギーは、いわば「時代の力」であり、地域には「変わること」で未来が開けることを示唆していると思います。私は、いかに「変わることができるか」が、これからの自治体の将来を決定付けるものだと考えています。
私は、人口減少を単に地域の萎縮、地域力の減退というマイナスの局面だけで捉えるのではなく、むしろ、これを機に昭和・平成の時代に作られたさまざまな事柄についても、良いところをさらに伸ばし、正すところは正して、思い切って「変わること」ができる好機という捉え方をしています。
本市の人口減少は危機的状況にあり、一刻たりとも猶予は許されません。この切迫した状況は、私たちに見識と判断力、そして果敢な行動を求めていると思います。
市民と企業と市役所のトライアングルは、この時代認識に立って「信頼」による結びつきを一層強めていく必要があります。
また、周南公立大学の「知の拠点」の牽引力、市内各企業が掲げられているパーパス経営の力量、そして市民の皆さまの品格と理知の力に大変期待しているところです。
私はこれからも、あらゆる方々からあらゆる知恵と情報とご協力を頂きながら、「2050年を乗り越えられる周南市になる」としたパーパスを忠実に実践して、未来の市民益に必ずつなげてまいる覚悟です。

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