文字サイズ
自治体の皆さまへ

なるほど健康教室[204]

5/28

山口県岩国市

■「盲腸(もうちょう)」って何?

「急性虫垂炎(ちゅうすいえん)」と言われてピンとこない人も、「盲腸」という言葉なら聞いたことがあるのではないでしょうか?
盲腸は腹痛の中で最も頻度の高い疾患の一つです。全ての年齢で起こりますが、10~20歳代に最も多いと言われています。
右下腹部の、小腸が終わり大腸が始まる部分に、盲腸と呼ばれる部位があり、ここから出ている紐状の突起物を「虫垂」と呼びます。虫垂が細菌に感染したり、糞石(ふんせき)と呼ばれる硬い便によって閉塞したりすることで、虫垂に炎症が生じることが原因と考えられています。
19世紀までは「盲腸炎」と言われており、死亡率が60%もあったようです。1886年、米国のフィッツ医師が、虫垂に原因があることを明らかにし、「虫垂炎」という言葉が使われるようになり、死亡率も低下しました。俗称の「盲腸」はこの歴史的呼称に由来しています。
虫垂は右下腹部にありますが、初期症状は不思議と心窩部(しんかぶ)(みぞおち)痛が多いです。時間経過とともに、痛みがだんだんと右下腹部に移動してきます。軽度の虫垂炎の場合は、右下腹部を押したら痛む程度ですが、ひどくなると、歩行時にお腹が響いたり、お腹全体が痛くなったり、発熱を来します。
治療には、薬物療法と手術療法があります。かつては、緊急手術を行う代表的な疾患で、虫垂は切除しても大きな影響がないと考えられていました。最近では、免疫や腸内環境に虫垂が関わっていることが分かってきました。そのため、軽症であれば切除をせず、薬物療法による治療のみを行う場合も増えてきています。しかし、そのような場合でも、一定の割合で再発するため、最終的に手術での切除を選択する場合もあります。
虫垂炎は、時間とともに症状が重くなります。治療は早ければ早いほど良く、体への負担も減ります。そのため、できるだけ早期に医療機関を受診することが大切です。しかし、初期の場合は、腹痛の原因がはっきりしないこともあります。受診後も症状が治まらない場合は、再度医療機関を受診しましょう。
〔岩国市医師会〕

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU