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「骨粗しょう症の予防 ~健康長寿の屋台骨~」

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島根県雲南市

リハビリテーション技術科 吉岡 健太郎(よしおかけんたろう)

「骨粗しょう症」という言葉は多くの方が耳にされたことがあると思います。近年ではロコモティブシンドローム※という言葉と予防の重要性も知っていただけるようになってきましたが、以前からある骨粗しょう症の言葉は知っていても予防や治療の認知度はまだまだ低い状況にあるのではないでしょうか。
骨粗しょう症になると骨折しやすくなり、骨折は脳卒中、認知症、高齢による衰弱に続いて介護が必要になる原因の約1割を占めています。
生活の質を守り健康寿命を伸ばすためにも骨粗しょう症は注意しなければいけない病気の一つです。
今回はその骨粗しょう症の予防と治療の関係についてお話します。

※ロコモティブシンドローム…加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになってしまったり、そのようになるリスクが高い状態

■骨粗しょう症とは
骨粗しょう症とは、骨強度が弱くなり、骨折する危険性が高くなる病気です。
自覚症状が乏しく、「背中が丸くなる」、「身長が縮む」といった症状が徐々に起こるため、「病気」と気付かないことが多いのも特徴です。
女性に多くみられ、50歳前後から急増し有病率は男性の約3倍です。60代女性の3人に1人、70代女性の2人に1人が骨粗しょう症といわれています。男性も60歳を過ぎると罹患しやすくなります。

■治療
一般的な治療としては、食事指導・薬物療法・運動療法があります。
今回は運動療法についてお伝えします。運動としては、骨密度を上昇させるための有酸素荷重運動・筋力強化トレーニング、背筋強化トレーニング、バランストレーニングなどがあります。

■予防
骨粗しょう症は治療も大切ですが、予防もとても大切です。

◯一次骨折予防…
初回の骨折を防ぐためには、若い時期により高い骨量を獲得すること、中高年になってからは若年時の骨密度をできる限り維持することがポイントです。
そのために、早いうちから現在の自分の骨量を知り、栄養・運動などの生活習慣を見直すことが大切です。

◯二次骨折予防…
骨粗しょう症による骨折を起こすと再び骨折を起こす危険度が高くなります。
すでに骨粗しょう症による骨折を起こし、医療機関において骨粗しょう症の治療を開始している方には、骨粗しょう症リエゾンサービス※などを通して、再骨折予防に向けた適切な治療および指導が実施されている例が多く見られます。
※リエゾンサービス…医師、看護師、その他多くの専門職がチームになって治療のサポートを行うこと

■早い取り掛かりが大事!
上記の関係性から骨粗しょう症の予防目的の運動はロコモティブシンドロームの予防にもつながります。
・閉経後の女性の方、70歳以上の男性の方
それ以下の年齢の方でも
・関節リウマチや内科疾患(糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病、内分泌疾患など)のある方
・長期間ステロイド薬を内服されている方、喫煙や過度の飲酒をされている方
上記に該当する方は一度、かかりつけの医師に相談してみてはいかがでしょうか。予防目的の早期の薬物治療、食事、運動が健康寿命を延ばし、生活の質の向上につながります。
当院でも骨粗しょう症リエゾンサービスチームを発足することになり、まずは院内で二次骨折予防に対する支援を開始することになりました。より市民の皆さんの健康に寄与することができよう引き続き頑張ります。

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