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自治体の皆さまへ

FROM ME TO YOU みんなでつないでリレーエッセイ

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愛媛県内子町

「草刈り」
重岡 ゆかりさん(58)(内子21)
この時期になると、あちらこちらで草刈機の音がします。私も頑張って作業しています。亡き義父が「作業中に人や車の気配がしたらじっとして。草がからまったらエンジンを切って取ること。無理に下まで刈らんでもかまん。石がはねたら危ないし、刃も痛みやすい。メガネは絶対しとけよ。気を付けてな」と言っていました。
広い所では人さまに害は与えないだろうと、ぶんぶん振り回しています。調子に乗っていると、カーン!「うっ、痛い!」。石がはねてきました。いけません、義父の言葉をもう一度肝に銘じなければなりません。安全第一です。夢中で作業をしていると思わぬ所にいることがあり、方向転換します。振り返ると刈り残しに気付いて、また戻る。草刈機を担いで行ったり来たりしています。
4~5月ごろは草花もたくさん咲いています。色鮮やかでもあり、可憐でもありますが、容赦なく刈っていきます。朝の連続テレビ小説のモデルで植物学者の牧野富太郎(とみたろう)さんとはえらい違いです(笑)。
作業を終えたら倉庫で一休み。カタカタ音のする古い扇風機と、ごつごつした古いマッサージ機が置いてあります。心地よい風を浴び、ぐいぐいとほぐしてもらうと快適です。でも思うのです。草は刈っても刈っても、除草剤をまいてもまいても、抜いても抜いても、後から後から生えてくる。伸びてくる。こちらに勝ち目はないなと―。
そしていつの日か、私は草に埋もれてしまうのでしょう。

次は、沖野真由美さん(内子5)にお願いします。

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