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【特集】善意のごみ箱(2)

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愛媛県東温市

■CHAPTER2 ごみへの一手
one move to garbage

昨日落ちていた道端にあったごみがいつの間にかなくなっている。自然に流されたのかもしれない。一方で、誰かが掃除してくれたのかもしれない。

◇善意のごみ箱の始まり
樋口集会所には「【路上】で拾ったゴミをそのままお入れください」とプレートが貼られた「善意のごみ箱」が設置されている。ごみを拾った人が善意のごみ箱に捨てると、地域の協力者が指定場所へ持って行く仕組みになっている。「ポイ捨てされたごみの種類は多く、分別は不可欠。地区には、ごみ拾いをしてくれる人がいるけれど、自分で分別して捨てなければならなかった。以前からごみの問題がありましたが、坂本さんの活動がきっかけで設置することに繋がりました」と話す前樋口区長の和田久幸(ひさゆき)さん。
樋口地区の坂本明則(あきのり)さんは約10年前から定期的に内川のごみを拾っている。坂本さんは、「数十年ぶりに地元に帰ってきたとき、内川に住む1匹の鯉を見つけました。当時の内川は酒の瓶、タバコの吸い殻、レジ袋などのごみが散乱していて、鯉がごみを食べたりしていたのでいたたまれずごみを拾うようになりました」と話す。和田さんは、坂本さんの活動を知ったとき地域の問題として、樋口協議会に地域で川掃除をする提案をした。昨年の春、協議会と地域の任意団体の樋好会が協力して内川での清掃が実現した。元の美しさが戻ってきつつあった内川に昨年の夏、嬉しい変化があった。和田さんは「昨年は今までに見たことないほどたくさんの蛍が飛んでいました。川には蛍の幼虫の餌になるニナ貝がいて、綺麗な川になったと実感しました」と笑顔で振り返る。

◇今も続く「ポイ捨て」との戦い
地域での内川清掃が終わった後も、協議会は川の美しさを保つために川や用水路の一部に柵を設置するなど、ごみが流れないよう工夫した。一時はごみが減ったものの、今でも地元のボランティアが川のごみや道路に放置されたポイ捨てごみを定期的に拾う姿が見られる。
地元ではこれまでの活動を月刊紙を通して地域の人に発信している。和田さんは、「監視カメラを設置すると、犯人を特定することもできますが、地域の人一人ひとりがポイ捨てについて考えてくれれば」と話す。

◇理想は善意のごみ箱がなくなること
「ごみのポイ捨て問題は続きます。理想はまちからポイ捨てごみがなくなり善意のごみ箱がなくなること。ここで終わりではなく、これからも地域みんなでごみの問題に向き合っていきたい」と和田さんは話す。それぞれの思いが一つになったとき、新たな一手が生まれる。

◆Interview
▽前樋口区長 和田久幸(わだ・ひさゆき)さん
善意のごみ箱を設置するまでに数年かかりました。川のごみ拾いから始まり、柵を作り毎日水路を確認したりと、長い道のりでした。
地域の人の思いや生き物を守るためこれからもごみの問題に向き合っていきます。

▽樋口区 坂本明則(さかもと・あきのり)さん 大翔(ひろと)さん 咲笑(さえみ)さん
約6年前、内川に泳ぐ鯉を孫が見つけて、掃除を始めました。当時はごみが多く綺麗とは言い難い川でしたが、最近は地域の人たちに協力してもらってかなり綺麗になりました。子どもの頃は、川でよく遊んでいたので内川を守りたいと思い、今もごみを見つけると掃除をします。最近は地域の人たちが川に関心を持ってくれています。子どもたちにも知ってもらって綺麗な内川を未来に残したいと思っています。

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