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自治体の皆さまへ

[特集]輝く勇気 燃ゆる希望(1)

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愛媛県東温市

今年も全国各地で大雨による被害が後を絶たない。私たちの住むまちも例外ではなく、常に備えておく必要がある。私たちが今できることは、防災マップを見たり備蓄品を確認すること。そして、災害が起きたときにできることや頼れる人を知っておくこと。災害が起こったとき頼れるのは自分や周りの人。地域を守るため、活躍する女性消防団員を取材しました

5月28日、消防署前の河川敷で令和5年度東温市水防工法訓練が行われた。市消防団、自主防災組織、市内事業所、市職員などが参加し、国土交通省四国河川事務所の防災エキスパートなどから大雨や洪水などの災害時に必要な知識を学んだ。
訓練はロープワークや土のう作りなど4つのチームに分かれて実践的に行われた。参加者はロープワークでは数種類の結び方を教わり、荷物を持ち運ぶときに使ったり、障害物に引っ掛けて命綱にする結び方などを教わった。また、越水対策訓練では参加者は汗を流しながら20の重さの土のうを作り、堤防に並べた。
この日、女性消防団員たちも訓練に参加した。「水防工法訓練に初めて参加しましたが、いざというときには改めて自分の身は自分で守ることの大切さを訓練を通して学びました」と女性班長の山崎三和さんは話す。

■私たちができること 今やる理由は「いつかのため」
「自らの地域は自らで守る」。消防団員は普段、他の職業に就きながら火災や災害発生時には現場に駆けつけ、地域を守る大切な役割を担う。
災害時にすみやかに活動できるよう消防団は日々訓練などに取り組む。地域の消防団単位で行われるものから、水防工法訓練やポンプ操法訓練など市内全体で行われるものまで、活動は多岐に渡る。
東温市消防本部総務予防課の渡辺俊介主任主事は「現在、東温市消防団は582人で構成されています。その内19人が女性消防団員です。女性消防団員も地域防災にとって欠かせない存在です」と語る。
東温市消防団女性班の活動は、救命講習の指導をはじめ、消防団員加入促進活動や訓練のアナウンスなど積極的に活動する。
地域防災の未来の担い手である中学生の防災意識の向上を目的として、3年に1度行われるサマー防災デーが昨年、川内中学校で行われた。サマー防災デーでは消防署員や消防団員などが心肺蘇生法や救護活動、瓦礫撤去やロープワーク、マイ・タイムラインの作成など各ブースに分かれて中学生を指導する。この日、心肺蘇生法を中学生に指導するのは女性消防団員の任務。心肺蘇生法の指導にあたった女性消防団員は1クラス20〜30人に、一人ずつ心臓マッサージやAEDの使い方を教えた。心肺蘇生法を体験した中学生は「心臓マッサージをやってみると意外と固くて、体力を使う。周りの人たちと協力して行わないといけないと感じた」と話した。
消防署では女性消防団員が受ける講習が定期的に行われている。昨年夏、応急手当普及員の資格を持つ女性消防団員が資格の更新で消防署を訪れた。消防署員から心肺蘇生法や近年変更があった救護法などを学び直し、心肺蘇生法やAEDの使い方を一人ひとりがロールプレイング方式で実践する。
「いざ心肺蘇生法をやってみるとできないことや悩んだり迷ったりしたと団員の皆さんは話をしていました。講習などで自分たちの知識を確認することは大切だと感じます。救護の常識は日々新たなものに変化していきます。新しい知識を常に取り入れていくことも欠かせませんね」と山崎さんは話す。
救命講習を行う立場でもある女性消防団員だからこそ感じることがある。「若いうちから知識を知っておくことは大切だと思います。幼稚園や学校などで幼い頃から継続して学ぶ機会が多いほど、『自分の身を自分で守ること』が自然に身につき、身近で当たり前の存在になる」と真っ直ぐ前を見つめる。

◇東温市消防本部 総務予防課 消防団係
渡辺俊介(わたなべ・しゅんすけ) 主任主事
現在、女性消防団員の活動は、平時のときは各地区や学校など救命講習の講師をしてもらっています。また、大規模災害時には、避難所の開設準備や炊き出しに携わっていきます。
女性消防団員の中から積極的に活動に参加したいとの声も聞いているので、今後は活動する幅を広げられたらと思っています。

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