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健康通信〜小牧市民病院より〜

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愛知県小牧市 クリエイティブ・コモンズ

■妊娠中の体重増加や栄養管理、妊産婦の栄養について
産婦人科 医長
大脇 太郎

妊娠成立後、母体においてさまざまな変化が起こります。母体の体重増加はその大きな変化の一つと言え、妊娠中の体重増加量や各種栄養素の摂取状態は、母体および胎児に影響が及ぶことが分かっています。2021年3月に妊娠中の体重増加の目安に関して、日本産科婦人科学会、周産期委員会において「妊娠中の適切な体重増加の推奨」が約20年ぶりに変更されましたので紹介します。
以前の基準は、体重増加によって起こりやすくなる妊娠高血圧症候群による母体死亡を減らすことを目的として設定された数値でした。しかし、医療の進歩に伴い母体死亡率は減少し、その一方で平均出生体重の減少が認められるようになりました。我が国の現在の平均出生体重は1970〜1980年代に出生した母親世代から180g減少しています。2、500g未満の低出生体重児の割合も単産では4.6%であったものが2017年には9.5%と増加しています。このことから、妊娠中の体重増加の推奨値が妊娠による生理的な体重増加値を下回っている可能性が危惧されるとして改定がなされました。
妊娠中の適正な体重増加量は、妊娠前BMI(Body Mass Index)という指数によって異なります。BMIは体重と身長から計算されます(図1)。BMIの値で分類された体格ごとに図2に示すような体重増加量が推奨されました。それぞれの体格において、従来の目安より3kgの制限が軽減されました。しかし、過度な体重増加は難産や妊娠中の糖尿病や高血圧などの合併症をきたす可能性を高めるので増えすぎにも十分注意が必要です。
実際の食生活ではバランスのよい食事を心がけることが大切です。米やパンなどの主食でエネルギーを、魚介類や肉、卵などの主菜でタンパク質を、野菜やイモ類、果物などの副菜や乳製品でビタミンやカルシウムなどのミネラルをとるようにしましょう。こうした食生活は妊娠前から心がけることも大切で厚労省から図3のような指針が出されています。このような適切な情報を妊娠前から確認し、健康的な生活を目指していくことが重要です。

◇図1
[BMI(体格指数)の計算式]
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

◇図2

◇図3
妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
~妊娠前から健康なからだづくりを~
・妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう
・「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと
・不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと
・「主菜」を組み合せてたんぱく質を十分に
・乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に
・妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
・母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで
・無理なくからだを動かしましょう
・たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
・お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから

※図2,3 令和3年厚生労働省妊婦前からはじめる妊産婦のための食生活指針より

問合先:市民病院
【電話】76・4131

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