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甲賀の文化財

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滋賀県甲賀市

■忍者史料をひもとく(2)尾張藩の甲賀忍者史料
日本遺産に認定されている甲賀忍者。6月18日(日)に忍者検定が行われますが、それにちなみ、「リアル忍者」を根拠づける古文書を紹介します。シリーズで紹介していますが、第2回目は、尾張(おわり)徳川家の甲賀者(もの)が残した忍術伝書(でんしょ)です。
江戸時代に名古屋城を本拠とした尾張藩徳川家は、甲賀忍者を雇っていたことは有名で、前回(広報こうか3月)紹介した甲南町杉谷(すぎたに)の渡辺(わたなべ)家もその一員です。彼らの頭を務めたのが水口町杣中(そまなか)出身の木村奥之助(きむらおくのすけ)です。各地にこの人物が関わった忍術伝書が残されています。
このうち特に面白いのは江戸中期の「甲賀忍之伝未来記(しのびのみらいき)」(公益財団法人無窮会(むきゅうかい)蔵)と題する、奥之助が甲賀忍者の将来を憂えて弟子に伝えたものです。
(1)泰平の世では忍びの地位が低いこと
(2)忍術をきちんと伝授できる者がいないこと
(3)道理で説明できない忍術が不信感を持たれていること
(4)秘密性が高いために伝承が難しいこと
江戸時代の忍びの実態と微妙な立場を、忍び自身が語った史料となっています。
このほか、尾張藩の旧蔵書を中心とする名古屋市蓬左(ほうさ)文庫には、「甲賀伝」「伊賀伝」という、木村奥之助と竹之下平学(たけのしたへいがく)の2人の忍術の「先生」が伝えていたと思われる「伝」が随所に引用される解説書など、何種類かの忍術伝書が残されています。いずれも「甲賀の忍術とは何か」を考える上で重要になってきそうです。
今回紹介した史料は、二〇一八年刊行の報告書『甲賀者忍術伝書』に収録しています。甲賀忍者が抱えていた問題や、甲賀者(もの)と伊賀者に果たして違いがあるのかなど、調べてみるのも面白いかもしれません。
※報告書の購入は、甲賀流リアル忍者館(【電話】70-2790【FAX】70-2659)まで。

問合せ:歴史文化財課普及活用係
【電話】69-2252
【FAX】69-2293

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