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第106回 温故知新~うと学だより~

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熊本県宇土市

■住吉自然公園

アジサイで有名な住吉町の住吉自然公園一帯には、平安貴族に愛された名勝地・風流島(たわれじま)や海の神様を祀まつる住吉神社、90年前の昭和8年(1933)に建設されたコンクリート製の住吉灯台などの歴史遺産が残されています。このため、昭和33年に当時の宇土町ではこの一帯を「住吉公園」という名称で文化財(史跡)に指定しています。昭和38年には、日本の海苔養殖発展に貢献したイギリス人海藻学者・ドゥルー女史を顕彰する記念碑も建立され、現在では宇土を代表する歴史観光スポットの一つとなっています。
この公園一帯は、江戸時代の初め頃まで「大嶋」と呼ばれた独立した島でした。寛文年間(1661~1672)に行われた笠岩新地干拓(かんたく)工事の際に陸と島を結ぶ干拓堤防が築かれ、陸続きとなりました。
昭和41年、その年の秋に控える天草五橋完成を前に、市では観光客増加を見越して、住吉公園内に公衆トイレや危険防止のためのガードレールを設置するなど整備が行われました。
その後、昭和46年に策定された宇土市第2次15か年長期総合計画にもとづき、市内では自然公園や都市公園が次々に整備され始めました。同年には宇土市自然公園管理条例も制定され、市内の風光明媚な公園を自然公園として指定し、公園の美観や風致の維持が図られました。この時に指定された自然公園は、住吉自然公園を含め、立岡自然公園、つつじヶ丘自然公園、轟泉(ごうせん)自然公園、甲岩(かぶといわ)自然公園、御輿来(おこしき)自然公園の6か所で、それまで「住吉公園」だった公園名は、条例制定により正式に「住吉自然公園」となりました。
昭和40年代までの公園整備は、自然環境や景観の維持に重点が置かれていましたが、マイカーブームの到来で旅行が大衆化した昭和50年代に入ると自然公園を観光地とするための整備が進みました。
市では住吉自然公園を「西の観光地」とするため、昭和52年度から3か年事業として住吉自然公園整備事業にとりかかり、島を1周する遊歩道、有明海が一望できる展望台や休憩所、転落防止の柵を整備しました。
昭和56年11月には、観光地修景事業の一環として約600株のアジサイが初めて植栽されました。アジサイの集団植栽は県内では珍しい取組みとして注目されました。平成4年(1992)からは紫陽花マンドリンコンサートの開催が始まり、平成7年には市民からの公募によりアジサイが市花に制定されました。
現在では県内随一のアジサイの名所となり、梅雨時期には約2000株の色とりどりのアジサイが訪れた人々を楽しませています。

○参考文献】
・『新宇土市史』(通史編第三巻)

問い合わせ:文化課 文化係
【電話】23-0156

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