特集 認知症を知り 地域で支え合う(2)

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■認知症ってどんな病気?
◇認知症とは…
さまざまな原因で脳の機能が低下し、生活に支障が出ている状態です。有病率は高齢者(65歳以上)人口の約16～17%と言われるほど、誰もがかかる可能性のある認知症。周囲も正しく理解し、支えていくことが大切です。

◇加齢による物忘れとの違いは?
・加齢による物忘れは…加齢による物忘れは、体験の一部を忘れる、物忘れを自覚している、探し物を見つけようとするなどの特徴があり、日常生活への支障がないことが多い。
(例)朝ごはんのメニューを忘れる
・認知症による物忘れは…認知症による物忘れは、体験したこと全てを忘れる、物忘れの自覚がない、探し物を誰かに盗られたと思い込むなどの特徴があり、日常生活に支障をきたすことがある。
(例)朝ごはんを食べたこと自体を忘れる

◇どんな症状があるの?
認知症には…
全ての認知症の人に起こる…脳の機能低下が原因の中核症状
一部の認知症の人に起こる…心理状態や性格・環境が原因の行動・心理症状があります。

中核症状：
・記憶障害
・見当識障害
・理解・判断力の障害
・実行機能障害
・失語・失認・失行
行動症状：
・不潔行為
・徘徊
・介護抵抗
・粗暴行為
・食行動異常
・睡眠障害
心理症状：
・不安焦燥
・幻覚
・抑うつ
・妄想

症状のあらわれ方は人それぞれ…こころの“SОS”なのです

■教えてドクター　荒尾市の認知症医療について
熊本県地域拠点型認知症疾患医療センター　センター長(荒尾こころの郷病院副院長)　石川　智久(いしかわ　ともひさ)先生
全国トップクラスの診療体制の熊本県は、認知症疾患医療センターを12カ所指定し、地域医療との連携で早期診断・治療につなげます。センターの1つ、荒尾こころの郷病院にある県地域拠点型認知症疾患医療センターのセンター長、石川智久先生に話を聞きました。
「そもそも認知症とは、厳密に言うと病名ではなく何らかの病気に伴うさまざまな症状の総称です。皆さん認知症かどうか〝診断〞を目的に受診されますが、診断を受けたからといって、その瞬間から何かが変わる訳ではありません。仮に認知症と言われても、今日、明日と生活は続いていきます。診察で自分の体の説明を受けるので、病院受診は今後を考えるきっかけになります。本人の葛藤や戸惑いに、どう寄り添えるか、サービスも考えながら周りとどう連携できるかが大事なんです」治療だけでなく、その人らしさへの理解や周囲の対応があってこそ成り立つ認知症ケア。「正直、医師だけではどうにもならないと思うこともあります。激しい症状で入院しても、病棟スタッフの対応ですっと落ち着いてしまうこともあるんです」と話す石川先生。普段の専門外来では、本人にどう説明するかなど、今後の生活のために一緒に考えてくれる先生です。

◇市の医療体制
認知症の人が約3000人いる荒尾市の医療体制を石川先生は「市全体が大きな病院のようなイメージ」と表現します。かかりつけ医から専門医療機関(市民病院・認知症疾患医療センター)を紹介され、必要な診療が終われば、かかりつけ医で治療を受ける連携体制がとられています。「重要なのは、定期受診や健康診断をきちんと受診すること。認知症の発症は、生活習慣病と密接に関わっています。日頃から健康管理や好きな活動を続けつつ、早期発見・早期治療につながることが理想的ですね」と石川先生は話します。

◇認知症に備える
「〝人間である限り、認知症は誰でもなる可能性があるもの〞という感覚で備えることが大事です。身近なものならなおさら、認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるように、医療・介護の体制を整えることが重要です。誰でも歳はとりますからね。いずれ自分にかえってくるんです」と認知症に備えることの大切さも話してくれました。

問合せ：熊本県地域拠点型認知症疾患医療センター(荒尾こころの郷病院)
【電話】62-0838
センターには専門の相談員を配置しておりますのでお気軽にご相談ください。

◆早期発見・治療のメリット
・予防のために生活を見直す
・薬や周りの対応で穏やかに生活する
・車の運転について考える機会にする
・認知症の進み具合を見据えて「どうしたいか」「どのサービスが使えるか」を話し合う

◆認知症初期集中支援チームがサポート!
認知症(認知症の疑い)がある人、その家族のご自宅へ、専門職で構成された「認知症初期集中支援チーム」が訪問します。最長6カ月間、病院受診や介護サービスの利用、ケアの方法など必要な支援を行い、在宅生活のサポートを行います。
・令和4年度活動実績　支援対象者19人・訪問521回

問合せ：地域包括支援センター
【電話】63-1177