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自治体の皆さまへ

特集 認知症を知り 地域で支え合う(3)

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熊本県荒尾市

■個々を尊重した活動で地域貢献と自然な支援を
NPO法人 たまな散歩道 デイサービス わだち製作所

◆できないことよりできることに目を向け、今を楽しむようにしています!
理事長 西村 哲夫(にしむら てつお)さん
熊本県認知症介護指導者

◇生活支援の中でスキルを生かす
古民家を改修したアットホームな空間で、それぞれの趣味や興味を生かした活動にいきいきと取り組む利用者さんの姿。2009年に開業した「わだち製作所」は和気あいあいとした雰囲気が漂います。約50人の利用登録者のサポートを行う20人の職員は、あえて制服は着用せず、活動を一緒に楽しむ〝介護の臭いがしない施設づくり〞がモットー。敷地内に広がる畑のそばには、元農家の利用者さんが作物を育て、その横に建つ屋根付きの休憩所や車庫、ウッドデッキは元大工の利用者さんが手掛けたそう。収穫した野菜は玉名と荒尾のこども食堂へ寄附をし、ご近所さんから「空き家の草取りを手伝ってもらえないか」と依頼があれば、快く参加しているとか。誰かの力になること、それを喜んでもらえた時の達成感が一番の活力のもとになると考えているからです。「普通のデイサービスのようにお風呂に入ることやレクリエーションすることが目的ではなく、仕事をすることを目的に通ってもらえる場所にしたい。仕事をしたから汗が出た、だからお風呂に入ろう、など自然な流れの中でケアができればいい。『デイサービスに行く』のではなく『わだちに行きたい』と思ってもらえるよう心がけています」と理事長の西村さん。

◇当たり前の日常の中で生きる意味を再構築
活動を大切にする一方で、認知症の症状が出れば、落ち着くまで〝待つ〞ことも大切にしています。「気持ちを素直に言えるまで信頼関係を構築するのは、簡単ではありません。時には職員も自分の悩みを相談しながら、少しずつ心を開いてもらう。その上で特別なことはせず、当たり前の生活を過ごすことを心がけています。また、今後は一人ひとりの能力を活かすことで地域の役に立てることを、本人や家族・地域の皆さんにも理解してもらえるように活動範囲を広げていきたいです」。
それぞれが重ねてきた知識や経験を尊重する取り組みは、個々の生きる意味を再構築しています。

■荒尾市では、地域ぐるみで認知症の人やその家族をサポートします!
◆認知症サポーター養成講座
たくさんの人が受講しています!

◇認知症について学び、理解を広める認知症サポーター養成講座
認知症を正しく理解し、認知症の人やその家族を支えるために、「認知症サポーター養成講座」を開催しています。事業所・地域団体・学校など幅広い分野・年代を対象に行い、市では現在、約13,572人の認知症サポーターが誕生しています。
講座の講師「キャラバン・メイト」の池上(いけがみ)さんは、社会福祉協議会で地域づくりのために地域を訪問をしたり、高齢者のサロンを立ち上げたり、地域福祉活動にも取り組んでいます。

今は進行を緩やかにする治療もあるので、症状の軽いうちに受診したり、家族や周囲が認知症を理解したりして、住み慣れたまちや家で生活できるようになってほしいです。
キャラバン・メイト 池上(いけがみ) まつみさん

市内の多くの学校でも認知症サポーター養成講座を実施しています!

◇認知症サポーター養成講座を受講した児童・生徒の声
・認知症はいろいろな種類があるのを知りました。認知症の人には今日学んだように優しくしたいです。
万田小4年 黒木 羽南(くろき はな)さん
・認知症の勉強をして、自分のおじいちゃんやおばあちゃんが認知症になったら優しく助けてあげようと思いました。
荒尾支援学校中学部一般学級2年 荒木 星那(あらき せな)さん

◆新生区 認知症問題・福祉連絡協議会を住民主体で発足し、精力的に活動!
新生区では、認知症の取り組みや地域住民のつながりを強めようと、数十人もの地域住民で認知症サポーター養成講座を受講したことがきっかけで、消防署などさまざまな機関が連携する「新生地区認知症サポートネットワーク」を構成。その後「認知症問題・福祉連絡協議会」を結成し、年に4回、認知症や地域の様子について協議を重ね、地域で孤独死など最悪の事態が起きないように活動に取り組んでいます。

一人暮らしの高齢者のお宅の訪問なども行っています!
新生地区公民館 館長 国村 昌義(くにむら まさよし)さん

◆野中区 認知症の勉強会や声かけ見守り訓練を実施!
野中区では、社会福祉協議会と連携し、昨年11月に認知症の学習会と様子が気になる人への声かけ見守り訓練を行いました。電話での情報伝達訓練や認知症の人と発見者の役に分かれ、声掛けのロールプレイング、見守りシールの読み取りを行いました。野中地区では「もしも」の時に備えて認知症の人にやさしい地域づくりを進めています。

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※詳細は本紙をご覧ください。

問合せ:地域包括支援センター
【電話】63-1177

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