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自治体の皆さまへ

加賀市の教育が大きく変わります。「教えられる」ではなく「自分で答えを見つける」

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石川県加賀市 クリエイティブ・コモンズ

■vol.4 答えが一つではない世界を、たくましく生きるために
◆学校教育ビジョン4つの柱の3つ目、「未来は自分で創る」プロジェクトについて説明します。
さまざまなバックグラウンドを持つ大人たちと一緒に学び、実社会・ホンモノに触れ、探究する。問いを立て、課題解決をする。
未来は自分で創る。社会は変えられる。加賀市の子どもたちがそう実感できるような体験・学習を進めていきます。

▽STEAM教育って何?
本プロジェクトの中心が、STEAM(スティーム)教育です。STEAMとは、5つの分野(科学、技術、工学、芸術・教養、数学)の頭文字をとった造語ですが、そう言われてもわからない上に、「学校の授業と何の関係があるの?」と思われる人がほとんどだと思いますので、もう少しかみ砕いて説明します。
・S(科学)、M(数学)…これまでの教科にもある「理科」や「算数・数学」で学ぶ分野です。
・T(技術)…この分野は、中学校「技術・家庭」の技術分野において中心に学びます。プログラミングに関する内容が強化されているため、小学校段階で中学校の授業に備える目的として「プログラミング的思考」を「算数」や「理科」等で学びます。また、高校には「情報I」という科目があり、文系や理系を問わず、全員が本格的なプログラミングを学びます。そして、令和7年度から、大学入試でも、科目「情報I」が出題されます(注1)。端的に言えば、「中学校の技術で学ぶ内容が大学入試で必要になる」と言えます。
・E(工学)…前述のS、M、Tの原理を活用し、問題を解決するために設計や構築を行う分野です。授業では「総合的な学習の時間」を有意義に活用し、工学分野の能力を高めていきます。
・A(芸術・教養)…創造性や表現力を重視する分野です。授業では、「図工」はもちろん、「国語」で表現力を高める活動や、「社会」で視野を広げる学びなど、すべて、本分野に対応します。

STEAM教育は、特別なことではなく、これまでにもあった授業を、現代社会にあわせて、学ぶべき分野の学びを強化しようとする教育であることがおわかりいただけましたでしょうか。そして、STEAM教育は、変わりつつある高校や大学の入学試験等に強くなる能力を育成することにもつながります(注2)。
注1)「大学入学共通テスト」の科目として新設。
注2)2023年度学力調査においても、STEAM教育で身につける能力が問われる問題がありました。

▽加賀STEAMプログラムを開発
「STEAM教育」という言葉は、世の中でも様々な説明がなされていますが、「STEAM教育とは〇〇である」という一つの答えはありません。そこで加賀市では、前述の5分野の学びを通じて、次の3つの姿勢や能力を育成する教育を「加賀STEAM教育」とし、小中一貫型のプログラムを開発していきます。
・課題解決する力…今後最も大事になってくる力です。
・教科横断的に探究する姿勢…前述E(工学)で説明したように、複数の教科で学習した内容を統合しながら、こうしてみよう、ああしてみよう…と、課題解決に向けて探究する姿勢です。
・問い続ける姿勢…たとえば「幸せに生きるには?」という漠然とした問いではなく、「自分にとっての幸せとは何だろう?」「自分ってどんな性格なんだろう?」等と、問いを深めていくことが、課題解決するためには不可欠です。

なお、AIの急速な発展に伴い、デジタル技術を適切に活用する力がより必要になります。そこで、「デジタルシティズンシップ教育」という、デジタル社会における資格のような教育を授業に盛り込んでいくことも考えています。

▽リーディングDXスクール指定校の橋立中学校で行った「チャットGPT」の授業
生成AIといわれる技術を用いたサービスが昨今急激に広まっています。この技術との正しい向き合い方を身につけるために、文部科学省リーディングDXスクール指定校の橋立中学校において、5月12日(金)にゲスト講師を招いての授業が行われました。その様子が、当日のNHKニュースで報道されるなど、大きな注目を集めました。
本授業では、「チャットGPTで、観光計画を立てる」という課題に取り組みました。その様子が下の写真です。また、この授業では、STEAMの5分野は、次のような学習において学びが深まっていきました。授業の進行順で説明します。
・M…データを活用する(例:人気の観光スポットの時間刻みでの来場者データを調べ、混んでいない時間を組み合わせて行程を立てる)。
・S…科学的知見を活用する(例:気象情報を調べて、最も雨の降らない日程を予測する)。
・T…チャットGPTという新しい技術を活用する。
・E…M、S、Tを統合する(例:気象情報や来場者データをチャットGPTに入力し、一つの案を提案してもらう。提案に納得いかない部分を議論し、より適切な案に修正していく)。
・A…表現力を高める(例:プレゼンテーションの場で、他のグループにわかるように表現する)。

今後も、授業を振り返り、改善することで、加賀STEAMプログラムをより良くしていきます。

子どもの「今」も「未来」も幸せにする、well-beingを実現する学びの改革を行うために、4つのプロジェクトを進めていきます。次号はPROJECT4「地域と一緒に」プロジェクトについてご紹介します。

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