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【特集】地元食材を地元で消費 厚木の農産物を食卓に(2)

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神奈川県厚木市

■直売だからこそ味わえる旬の味覚
トマト農家
神﨑 浩貴さん(33・温水)
青空の下、暖かい空気が立ち込めるハウスの中に入ると、大きく育った苗の香りがふわっと漂ってきます。傷が付かないようにつり上げられたトマトは、まるで宙に浮いているかのよう。神﨑浩貴さんは、赤く色付いた実の出来を一つ一つ丁寧に確かめていきます。「農業は大変だけど、だんだん作物が成長していく楽しさの方が勝つ」と笑顔で汗を拭います。

▽完熟トマトを店頭に
神﨑さんは、代々続くトマト農家の5代目。農作業に汗を流す父の姿を見て育ち、幼い頃から作業を手伝っていました。大学ではプログラミングを学び、一度は他の道に進むことも考えていたという神﨑さん。しかし「いずれは農業を継ぐつもりだった。早く始めた方が技術が身に付く」と決心し、卒業後1年間の研修を経て就農しました。
ハウスでは、大玉・中玉合わせて約1000本の苗を栽培しています。「天候に合わせた温度管理が難しく、うまくできないと病気にもなりやすい」と、新しい道具を使ったり、栽培方法を少し変えたりと工夫を凝らしています。
神﨑さんが作っているのは、かながわブランドに登録される「厚木トマト」。甘みと酸味のバランスが良く、しっかりとした食感が特徴です。朝に収穫し、自宅での直売の他、100袋ほどを夢未市に納めています。地方から輸送されてくる品は、店頭に並ぶ時に赤くなるよう完熟を迎える前に収穫されます。一方、直売は採れたてで完熟のトマトが味わえるのが魅力です。神﨑さんは「同じトマトを食べるなら、食べ頃の一番おいしい状態を味わってほしい」と力を込めます。

▽地場産を食べるきっかけに
神﨑さんは、農業協同組合の30・40代の農家が集う青壮年部に所属しています。仲間たちと共にアイデアを出し合いながら、厚木産の農産物をPRする活動にも力を入れています。神﨑さんたちは、地元食材を食べる機会を増やそうと、昨年8月から地場産のジャガイモやニンジン、ゴボウ、ひき肉を使ったレトルトカレーを考案。今年4月に夢未市などで販売し、カレーを食べた人たちからは「ゴボウ入りが珍しい」「食べやすい味だった」などの声が届いたといいます。
「一生懸命に育てた野菜を食べ『おいしかった』と声が聞けた時がうれしい」と笑みを浮かべる神﨑さん。「計画を立て、考えながら取り組むのが好き」。自分の野菜はもちろん、青壮年部の活動を通して市内全体の地産地消の普及も見据えています。

■市内産の新鮮・安心な農産物を「厚木市民朝市・夕焼け市」
市内産の農畜産物や加工食品などを販売し、季節に応じた特別市も開催しています。

▽厚木市民朝市
日時:日曜 6~7時
場所:文化会館駐車場

▽夕焼け市(11月1日まで)
日時:水曜 17~18時
場所:荻野運動公園

問合せ:農業政策課
【電話】225-2801

■地産地消の意識を高める
東京農業大学 農学部 教授
髙畑 健さん
地産地消は、生産者の顔が見え鮮度の高い農産物が手に入ったり、生産者側も理想の価格で直売できたりと、両者にメリットがあります。また、地域活性化・食育のツールや、輸送時間の短縮、規格が合わず市場に出せない生産物も直売できるなど、エコやSDGsの視点からも、この先必要な取り組みです。
厚木市は、都市もあれば自然も豊かで恵まれた立地です。水田や畑なども多く、農業の基盤はすでに整っています。農産物の魅力を広く発信し、市民の皆さんが「同じ食材を買うのならば地場産の物を」という気持ちを持つことで、地域の農業も活性化していくのではないでしょうか。

問合せ:農業政策課
【電話】225-2801

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