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特集Special Feature まちづくりの 源泉(2)

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福井県美浜町

■地産地消・地域内での循環を生む
合同会社 菅浜わくわく協働体

小学校や保育所の統廃合により、地域に子どもの声が聞こえなくなった。この現実に危機感を抱いた菅浜区では、区民が一丸となって集落の活性化に取り組みます。
今あるものを磨き、ないものは手作りで作り出す。さまざまな形の活性化が菅浜にはありました。

▽法人の設立
合同会社菅浜わくわく協働体は、令和4年10月にコミュニティビジネスを行う組織として設立されました。
社員は、令和元年8月に菅浜区の下部組織として発足された菅浜わくわく協働体(任意団体)を主とし、「恵みと暮らし」「賑わいと暮らし」「豊かさと暮らし」「ふるさと茶屋」の4つをコンセプトに集落の活性化に取り組んでいます。

▽恵みと暮らし
恵みと暮らしの分野では、休耕田を活用した「はーぶ and れもん園」の整備・運営やビニールハウスでの野菜の栽培を行っています。
ハーブは約30種類、レモンは約100本を植樹し、今年は約2,000個のレモンが収穫される予定です。
また、15年前から行っている炭焼き体験の受け入れを継続。毎年約100人の児童・生徒を受け入れ、森の大切さや炭焼き作業の大変さを伝えています。

▽賑わいと暮らし
賑わいと暮らしの分野では、交流人口の拡大を目的に、トレッキングコース作りやそのコース内に菅浜を一望できる展望台を設置しました。そこには、桜の木を植樹し、将来的には花見をしながら、菅浜が一望できる展望台となる予定です。

▽豊かさと暮らし
豊かさと暮らしの分野では、地域内外の世代間交流を図ることや居場所づくり、絆づくりを目的に「だれでもウェルカム食堂」を開催しています。
だれでもウェルカム食堂は、毎月1回開催され、菅浜区の回覧等で事前に申し込みをした方々が訪れています。毎回80食から100食が提供され、高齢者から子どもまで多くの人が食事を通じて交流を深めています。

▽ふるさと茶屋
ふるさと茶屋の分野では、廃園となっていた旧菅浜保育所の建物を改修し、菅浜わくわくかんをオープンしました。
菅浜わくわくかんには、石窯で焼き上げる本格的なピザが楽しめるカフェ「Pizzeria and CafeWakuWaku」や6カ月から2歳までのお子さんを預けることができる一時保育スペース「キッズルームわくわく」、誰でも利用できるふれあいサロン、会議室が整備されています。
カフェでは、「はーぶ and れもん園」で収穫されたレモンや菅浜の漁師が獲った地だこ等、地元の食材をふんだんに使用したメニューが並び、地産地消を通した地域の経済循環の拠点となっています。

▽この活動が他の地区のモデルとなるように
合同会社 菅浜わくわく協働体
代表社員 濵野 健治(けんじ)さん=菅浜=

小学校や保育所の統廃合により、地域から子どもたちの声が聞こえなくなったときは、地域の疲弊感を感じましたが、同時に「なんとかせねば」という思いが湧いてきました。
我々の世代が次の世代に何かを残さなければならないと思い、区民一丸となって活性化に向けた組織(菅浜わくわく協働体)を立ち上げました。
菅浜わくわく協働体の活動を始めるにあたり、1年をかけて区民参加型のワークショップを計8回開催し、菅浜の良いところと悪いところを徹底的に洗い出しました。
そこで出されたものをグループ分けし、良いところを生かし、悪いところを補う活動をするための組織を形成しています。
多い時では約650人だった菅浜の人口は、400人を切り、その内の約45%が高齢者という状況ですが、この活動が他の地区のモデルとなって、町全体の活性化につながってほしいと思っています。

■集落元気プラン推進事業補助金制度概要
町では、令和元年度から各集落の将来にわたる運営計画の策定を支援する集落元気プラン推進事業補助金制度を設けています。
この制度は、集落元気プランの策定から実行までに必要な費用の一部を町が支援するもので、これまでに多くの集落でご活用いただいています。
各集落で共通する課題はありますが、それぞれ異なった課題もあり、それらに幅広く町が支援するためにこの補助金制度を設けています。この制度を利用するには、集落元気プランの策定が前提となります。まだ、集落元気プランを策定していない集落は、この機会にぜひご検討ください。

◆事業内容
各集落が策定する集落元気プランに掲げる集落活動や機能維持、コミュニティの形成、課題解決等に向けた取り組みに対して必要な支援を行います。

◆補助対象事業
(1)集落元気プラン策定支援事業
集落の10年先、20年先を見据えた集落づくりに関する事業を定めた将来的なビジョンの策定に係る事業に対して支援します。

(2)集落元気プラン活動支援事業
集落元気プランに基づき実施するもので、集落の活性化につながると認められる事業に対して支援します。

◆補助金の額
(1)集落元気プラン策定支援事業
補助対象経費の全額 上限:40万円

(2)集落元気プラン活動支援事業
補助対象経費の5分の4以内
均等割額:35万円((1))
区加入世帯数(※1)に応じた額:1世帯あたり5千円((2))
(1)均等割額(35万円)+(2)区加入世帯数から算出(※2)
(複数の集落で連携した場合は、1集落10万円を上限に上乗せします)

◆補助対象
補助対象区や自治会を対象とします。また、各区の青年会や子ども会、婦人会、老人会等の各種団体が主体となる事業も対象です。

◆補助対象経費(例)
(1)集落元気プラン策定支援事業
・先進地視察のための研修費、旅費
・プラン作成に伴う会議費(お茶代、コピー代)等
(2)集落元気プラン活動支援事業
・集落活動で必要となる費用
・伝統文化の継承で必要となる費用
・防災、高齢者支援で必要となる費用
・空家、空地管理で必要となる費用
・環境美化で必要となる費用
・集落内で農業、漁業の担い手を育成するため、それぞれの体験を開催する費用
・地域のリーダーを育成するための研修費用

※1…基準日は令和2年4月1日
※2…100世帯を超えるごとに10%ずつ減少

◆活用事例
今回の特集では、集落元気プランの策定を1つのきっかけとして法人を設立した佐柿区と菅浜区を紹介しましたが、他の集落でもさまざまな形でこの制度を活用し、活性化に向けた取り組みが進められています。

▽郷市区
郷市区に伝わる囃子を継承するため、法被を作成しました。

▽南市区
防災力の強化を図るため、区民全員に防災バッグを配布しました。

▽興道寺区
区民の憩いの場をつくるため、公園の広場に東屋を整備しました。

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