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〔同和問題啓発強調月間特集〕マジョリティの特権 無自覚な「多数者の特権」

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福岡県田川市

■現実 気持ちだけでは解決できない。
人権は、人が生まれながらに持っている、人間らしく生きる権利のことです。英語で「Human Rights」(ヒューマンライツ)と複数形で表されるように、人権は気持ちのような抽象的なものではなく、具体的で数えられるものを指します。
それは「生命の安全が保障される権利」のように、状況によっては「生きるか死ぬかに関わる問題」です。思いやりや優しさだけでは解決しがたい問題であり「人としての権利が守られていない問題」と考えることが重要です。

■原点 水平社宣言の精神に立ち返る。
あわれみの感情では差別を無くすことはできないということを、今から100年以上も前に先人たちが警鐘を鳴らしています。それは、長い間差別を受け続けている被差別部落の人々が創立した全国水平社の「水平社宣言」です。
日本初の人権宣言と言われる同宣言は、人は同情される者ではなく尊敬される者であり、思いやりや優しさの対象ではなく、権利の主体であるということを訴えています。

■矛盾 なぜ、差別は無くならないのか。
市が実施した市民意識調査のうち「人権や差別についての考え方」についての回答で、最も多かったものは「差別は人間として最も恥ずべき行為の一つである」(84.1%)でした。その解決方法として「思いやり、やさしさ、いたわりの気持ちをみんなが持てば人権問題は解決する」という回答が半数以上(52.5%)ありました。一方で、差別や人権侵害を受けたと感じた市民が約4割いることもわかりました。差別は許されないことであると、多くの人が思っているにも関わらず、未だに無くならないのはなぜでしょうか。

○人権問題に関する市民意識調査(令和4年度)

期間:令和4年7月1日~20日
対象:1,500人(うち有効回答数459)
※18歳以上の市民を無作為抽出

■視点(1) マジョリティ(社会的多数者)とマイノリティ(社会的少数者)

■視点(2) マジョリティの「特権」を自覚し、マジョリティ側にできることを考える。

●制度や仕組みの中に「特権」がある。
「人権問題は人としての権利が守られていない問題」ということを考えるために「マジョリティの特権」という視点があります。特権とは、マジョリティ側にいることで苦労しなくても与えられている恩恵のことをいいます。
特権は、右図のように自動ドアに例えることができます。自動ドアには、ドアを開け閉めするセンサーがついています。このセンサーは、マジョリティ側の人を認識してドアを開きますが、マイノリティ側の人は認識しません。例えば、結婚制度に当てはめた場合、ドアが開く人たち(異性間)は結婚制度が利用できますが、ドアが開かない人たち(同性間)は利用できないことになります。
つまり、マジョリティが積極的に差別をしたいと思っていなくても、社会の制度や仕組みの中にマジョリティにとって生きやすく、マイノリティにとって生きにくい「差別を生み出す構造」があり、その事実をマジョリティ側が自覚していないということが問題の本質です。

○特権を自動ドアに例えた場合
※詳しくは本紙をご覧ください。

●自覚し、学び、行動する。
下記の事例に示すように、日常に溶け込んでいる「自身が持つ特権」は「気付かなくても困らない」ものであり、意識して気付こうとしない限り、自覚しにくいものです。
では、マジョリティ側にいる無自覚な自分に気付くためにはどうすればよいのでしょうか。まずは、日常の中の出来事から視点を変えて考えることが必要です。そうすることで、自身が持つ特権の存在や、その特権によって差別や排除を受けている人の存在が見えてきます。自分にどんな特権があるか、それが誰かを困難な状況にしていないかを知ることが、差別を無くす第一歩です。
人権問題は社会問題です。社会の構成員である私たちは、人権問題の解決を自らの問題として考え、行動していくことが求められます。今回は「マジョリティの特権」に焦点を当てましたが、人権問題は多岐にわたり、時代とともに変化していきます。常に正しい知識を得て考えや行動を変化させていくことが必要です。
市は今後も学びの場の提供や情報発信などに取り組み、人権教育・啓発を推進します。これからも、ともに人権の学びを深めていきましょう。

○マジョリティの特権の事例
・多言語の字幕や副音声が無くても動画を見ることができる
・階段しかない駅や、点字ブロックがない道でも移動に困らない
・音や音楽が鳴らない信号機でも横断歩道を渡ることができる
・異性が好きで、異性と交際や結婚ができる
・夜道を歩くことに不安がない など

問い合わせ:人権・同和対策課
(【電話】85-7133)

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