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筑紫野市×太宰府市合同企画 特集 わたしたちの宝満山(1)

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福岡県筑紫野市

筑紫野市と太宰府市にまたがる宝満山。
福岡県で最も登山者が多い人気の山であり、古代から信仰の山として人々の心の拠りどころとなってきました。
今回の特集では、2市が共同で、国史跡指定から10年を迎える宝満山について紹介します。

■市長山頂対談
筑紫野市長 平井一三
太宰府市長 楠田大蔵

平井市長(以下「平」):私は妻と結婚前に登って以来、約40年ぶりの登山でしたが、さすが修験の山、きつかったですね。
楠田市長(以下「楠」):二日市小学校の遠足で登ってきつかった思い出がありますが、大人になってもきつかった。あらためて、山頂をめざすヒキガエルのすごさを感じます。
平:本当ですね。実際に登ると、宝満山が長い時間をかけていろんな人の手で守られてきたことがわかります。
楠:両市で協力して策定した「史跡宝満山保存活用計画」に基づき、この山の貴重な歴史や文化を多くの人と共有していきたいですね。
平:宝満山の登山道は九州自然歩道の一部にもなっていますから、「道」としても魅力と可能性があると思います。海外でもロングトレイルは根強い人気ですし。楠・観光や駅周辺の活性化にもつながる可能性がありますね。
平:今回の企画にあたって、あらためて宝満山について学び、両市の取り組みを振り返り、その上で楠田市長と一緒に登ることで「わたしたちの宝満山」という想いを強くしました。
楠:両市の市長が一緒に山頂に立つなんて初めてのことだと思いますよ。こうしていると、いろんな連携が実現可能な気がします。相乗効果で全国にとどろく両市にしていきましょう。

■インタビュー 宝満山と私
▼宝満山の麓 御笠地域の代表 八尋雄二(やひろゆうじ)さん
筑紫野市農業委員、社会教育委員。御笠まちづくり協議会会長、筑紫野市コミュニティ連絡会会長として、地域コミュニティによるまちづくりに取り組む。

○宝満山の恵みある地域で
子どもの頃、父と山芋掘りをしていると、土器の破片らしきものが出てきました。学校の先生に尋ねたところ、古代のものではないかとのこと。そんな昔からこの地域には人が住んでいたのかと驚きました。
先生からは、宝満山が地域の豊かな自然の源であり、また、古くから霊山として扱われていることを教わりました。宝満山から流れ出るきれいな水は、田んぼの美味しいお米にもつながっている。自分だけでなく子どもの代までも、宝満山の恵みあふれるこの地域で生活していきたいと、幼心に思ったものです。
ご先祖様の時代から、御笠地域に住む人たちは同じ思いで山を見上げてきたのではないでしょうか。だからこそ、宝満山に関わる地域のお祭りなどが今に続いているのではないか、と感じます。
御笠地域では、講演会や登山ルート整備、案内看板の設置、散策マップづくり、小学生の遠足の引率や神社のお祭りなど、太宰府市の皆さんとも連携しながら宝満山を守り育てる活動に取り組んできました。
国史跡指定10年という節目を契機として、市の枠組みを超えて地域の連携を強め、より多くの人が宝満山に関心を持つきっかけをつくりたいと思っています。
ぜひ、一度宝満山に登って、その偉大さを体感してもらえれば、最高の喜びですね。

▼宝満山研究の第一人者 森弘子(もりひろこ)さん
専門は宗教史、民俗学、文化財学。博士(人間環境学)。文部科学大臣表彰地域文化功労者。福岡県・筑紫野市の各文化財保護審議会の会長、太宰府市景観・市民遺産会議議長など県内市町の委員を歴任。

○さまざまな縁に支えられ
確実な文献史料によると、803年に最澄(さいちょう)が入唐の渡海祈願のため竈門山寺で薬師仏を彫ったことが竈門山の初見となります。竈門山とは宝満山の古い呼び方の一つです。
また、考古資料としては、山頂や竈門岩などから古代の祭祀土器などが見つかっています。土器には中華思想において西側の外国を示す「蕃(ばん)」の文字が書かれており、国家的な祭祀が行われていたことがうかがえます。
地方の山として珍しいことですが、古代にまで遡ることができる一級資料が充実していることが研究者から見た魅力の一つですね。
筑紫野で生まれ、太宰府天満宮文化研究所に勤めることとなった私の最初の仕事は、宝満山の歴史を解明すべく資料集めをすることでした。
結婚や出産を機に研究を辞めようと思ったこともあったのですが、太宰府天満宮司の西高辻信貞さんなど多くの方から励まされ続け、今に至ります。
宝満山は縁結びの神様ともいわれますが、さまざまな人とのご縁がつながって、半世紀余りも研究を続けられてきたことを考えると、不思議な気持ちがしますね。

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