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自治体の皆さまへ

共助 地域の防災力を高めよう(3)

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福島県伊達市

■市内初!「地区防災計画」を作成山野川地区北部行政区の取り組み
◇実効性がある計画づくりを
地区防災計画は、災害時の役割分担や避難行動などを地区で共有するための計画で、作成に住民が加わることで、地区の実情に即した実効性のある計画にする狙いがあります。
霊山町山野川地区北部行政区(以下、北部行政区)は、今年3月に市内で初めて「地区防災計画」を策定しました。計画作りの中心となった菅野寛之(かんのひろゆき)さんは危機感を口にします。「100年に1度といわれるような災害が毎年起きています。山野川もいつ被害にあうか分かりません。」
北部行政区では、これまでにも情報伝達訓練を行ったり、避難行動計画を全戸に配るなどして、防災力向上に努めてきました。しかし高齢化率が46・6%と高く、高齢者の避難や情報伝達などに課題があります。

◇みんなで地域を見つめ直す
昨年、福島大学行政政策学類西田准教授とゼミ生の協力のもと、地区防災計画の策定に取り掛かりました。
「防災まち歩き」をして危険箇所を地図に記し、住民それぞれが感じている北部行政区の課題を共有しました。洗い出された課題の中でも、特に「住民同士での備えや支え合いが必要」とされた優先課題に対し、具体的な取り組みを計画案に盛り込みました。

◇計画実行・防災アプリ講習会
計画が完成した初年度の事業として、6月11日(日)に「防災アプリ講習会」を開催しました。スマホにアプリを入れるところから始まり、気象情報の探し方や災害監視システムの使い方などを学びました。
防災アプリは折に触れて開き、操作に慣れることが大切です。北部行政区では今後も情報伝達訓練などを行い、「生きた計画」として地区防災計画を活用し、地域の防災力を高めていくことにしています。

◇Voice コミュニケーションを普段から大切にしたい
地域について分かっていたつもりでも知らないことがあり、計画作りで防災の意識が深まったと思います。災害時は女性の力も重要になるので、役割分担を確認するなど、普段の集まりの時から災害のことを話題にしていきたいと思います。
菅野和子さん 菅野京子さん 安藤キヨ子さん

◆計画の要点は??(主な取り組み)
◇災害情報に関する取り組み
(1)情報収集円滑化
・防災アプリの講習会
(2)臨機応変な情報伝達
・会長不在時の情報伝達訓練

◇備蓄に関する取り組み
(1)井戸水に関する協力
・運搬可能なポリタンクの準備
(2)各世帯の備蓄を促す
・チェックシートを各戸に配布

◇避難所機能に関する取り組み
(1)避難所機能の確認
・洋式簡易トイレ設置の検討
(2)避難所機能の向上
・避難所設置
・運営訓練の検討

◇1人で避難が難しい人への取り組み
(1)地域で随時把握
・家族・隣近所で日頃から交流
(2)支援チーム形成を促す
・重層的な協力関係の形成

◆ワークショップ 課題共有 and 解決策模索
ワークショップには地区の約7割の世帯が参加しました。1回目の防災まち歩きに始まり、課題の共有や解決方法などが話し合われました。

(1)住民17人が参加し、危険箇所などを確認
(2)課題を挙げ、全体で共有
(3)課題解決の優先順位付け
(4)計画策定へ細部を調整

◆Interview 防災を「自分事」にしてもらえた 地域の実情に合わせて更新し続けたい
地区防災計画のワークショップで「災害時の水の確保」について話し合った時、「うちの井戸水使えるよ」と言ってくれた方がいて、井戸や湧水の場所も防災マップに反映させることができました。一人では思いつかないこともみんなの知恵を合わせればできると感じました。そして「自分たちが作った計画」という当事者意識が生まれ、ただ渡されただけの計画よりも、グッと身近な存在になったと思います。
計画は作って終わりではありません。地区の実情に合わせて見直しをしながら、練度を高めていく必要があります。要支援者が増え、支援できる人が減る未来が今後やってきます。過疎化や高齢化は止められなくても、人身災害だけは食い止めなければなりません。「今までにない災害が起きる」という意識を、少しずつでも浸透させていきたいと思っています。

北部行政区自主防災会 会長 菅野 寛之さん(かんのひろゆき)
海上保安庁に42年勤め、数々の海難救助を経験。3.11では岩手県宮古市で津波に遭遇。人身災害防止に強い使命感を持ち、地域防災に尽力する。

■一人じゃ難しい。でも、みんなでなら。考えよう、地域の防災。
各家庭が災害への備えをすることがまず第一歩ですが、その上で不足するものをご近所同士で融通し合えば、防災の備えは何倍にもなります。
それは情報や知恵も同じことです。ご近所さんと、普段から地域のことを話してみませんか。「雨の時、あの道は避けた方がいい」「誰々さんが免許返納したらしい」…日常の井戸端会議での情報共有が、自分自身や家族、地域のみんなの命を守ることにつながるかもしれません。

お問い合わせ:防災危機管理課危機管理係
【電話】575-1197

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