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田村市の文化財

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福島県田村市

■昔(むかし)ばなし
ずっと昔から人々の間で語られ、伝えられてきた話に伝説や昔ばなし、世間話があります。文字ではなく、口頭(こうとう)で伝わったことから「口承文芸(こうしょうぶんげい)」などと呼ばれます。「桃太郎」や「こぶとりじいさん」などは特に有名です。「囲炉裏端(いろりばた)やたばこはさみ、たばこのしの作業中に昔ばなしを聞いた」という高齢の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昔ばなしには、よく動物が登場します。イヌ、サル、ウマ、ヘビなど。その中で人をだますものとしてタヌキやキツネが出てきますが、大越町牧野と船引町門沢の境(さかい)、「大木(おおき)の坂(さか)」には多くのキツネがいて、キツネに馬鹿(ばか)にされたという話がいくつかあり、その中から「大越町史・民俗編」に収録されている「栄太郎さんとキツネ」という話を紹介します。

牧野の岡田(おかだ)に、栄太郎という猟師(りょうし)がいた。ある日、いつものように猟に出たが、ウサギ一匹どころか小鳥も捕れなかった。おまけに日も暮れてきたので、あきらめて家に帰ってきた。家の者たちはいつになくやさしい声で、
「疲(つか)れたっぺから、早く風呂に入りなんしょ」
と言うので、栄太郎さんはさっそく風呂に飛びこんだ。湯加減(ゆかげん)もいいあんばいで、つい鼻歌も飛び出した。
ある人が用足(ようた)しから帰る途中、どこからか気持ちよさそうな鼻歌が聞こえてくるので、今時分(いまじぶん)なにごとだべと思って、声のする方に近づいてみたら、鉄砲(てっぽう)持った男の人が田んぼの中でガラッポ、ガラッポと水こねをしていた。
「何してんだい、こんな夜中に、田ん中で」
「湯に入っていんだわい。いいあんべいだから、あんだも入っていかねがい」
と言っていた。よく見たら栄太郎さんのようであった。
「湯なんかではねぇぞい。そこは田ん中だぞい」
って言うと、栄太郎さんは我れに返って田ん中から上がってきた。あとでその話になると、栄太郎さんは、
「いやあ、あんどきはうまくキツネに馬鹿にされっちまって」
と、頭をかきかき、人に語っていたそうな。

次回は「仏像」を紹介する予定です。
(※田村市の文化財一覧は本紙またはPDF版の二次元コードからご確認ください。)

9月30日(土)午後1時30分から市歴史民俗資料館で「昔ばなし」(船引民話語り部の会)を開催します。入場は無料ですので、ぜひご来場ください。

問合せ:教育部 生涯学習課
【電話】81-1215

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