- 発行日 :
- 自治体名 : 大分県竹田市
- 広報紙名 : 広報たけた 2025年6月 NO.243
■心房細動について
心房と呼ばれる心臓の部分が拍動することなく震えるような状態となり、心拍が不規則になる不整脈を心房細動と呼んでおり、発作性と持続性に分類されています。自覚症状として動悸、息切れ、倦怠感、めまいなどを生じますが、症状のない場合もあります。現在、我が国では100万人以上が本症に罹患しているといわれており、高齢化に伴い、その数は増加しています。
心房細動がもたらす主なリスクとしては、心不全と脳梗塞があげられます。前者は、心房の不規則な収縮や頻脈により心臓のポンプ機能が低下することから生じます。後者は、心房内で血液が停滞することで血塊を生じ、それが血流を介して脳血管を閉塞させることが原因となります。脳梗塞全体の20~30パーセントは、本症が原因であるとされています。さらに、脳の小さな血管を詰まらせて徐々に認知機能を低下させるような「隠れ脳梗塞」と呼ばれる病状も、本症と関連があるといわれています。
心房細動は、心筋梗塞・弁膜症・心不全などの心疾患、それ以外に加齢・肥満・糖尿病・喫煙・飲酒・甲状腺疾患などが原因とされています。本症を早期に発見し治療を開始することが望まれます。しかしながら、自覚症状がない場合も多く、特に発作性心房細動は、通常の心電図検診で捉えられないこともしばしばです。このようなことから県内では、大分大学循環器内科を中心に1週間ホルター心電図を利用した調査(571例、臼杵市、杵築市、2023年)が行われ、2・8パーセント(75歳以上では5・2パーセント)の方に新たな発作性心房細動が検出されたと報告されています。
本症の治療には、脈拍を安定させる抗不整脈薬や血栓予防のための抗凝固療法、ならびにカテーテルアブレーションなどがあります。原因となりうる生活習慣の是正も重要です。カテーテルアブレーションは、カテーテルを利用し心臓内の異常な電気信号を検出して焼灼する根治治療で、高い治療効果が期待できます。動悸、息切れ、脈の不整などの異常を自覚された場合は、早期に最寄りの医療機関を受診されることをお勧めします。
問合せ:竹田医師会病院 循環器内科 原
【電話】63-3241