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自治体の皆さまへ

《特集》未来への扉を開ける!大学×地域で動く多彩なプロジェクト(3)

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京都府京田辺市

◆〔研究テーマ〕京田辺市における縁農ネットワーク形成~都市農地で育てる特産物と人財~
摂南大学 農学部応用生物科学科
特任助教 沼本穂さん(40)
ストレス発散のため、手の込んだ料理を作ることが好きです。

専任講師 田中茂幸さん(42)
海外旅行が趣味で、今まで行った国は30カ国にも上ります。

農学部食農ビジネス学科 准教授 中塚華奈さん(53)
京田辺の温泉施設が最近のお気に入り。風呂上がりに食べるソフトクリームが格別です。

国際学部国際学科 特任講師 小林基さん(32)
カラオケが趣味で、最近は「田辺音頭」と「京田辺市の歌」を練習しています。

◇プロジェクトの概要と研究の進展は
ビールやマコモタケを中心とした商品開発を通じて、耕作放棄地の解消や大学・事業者・市民のネットワークの拡大を目指してきました。
マコモタケは、大住地域にある300平方メートルの田んぼで栽培実験を行い、昨秋には300本を収穫することができました。マコモタケの食材としての可能性や市民の皆さんの率直な感想を把握するため、市内で開かれたマルシェにおいて、調理方法を記載したレシピとともにマコモタケを来場者に配布しました。アンケート調査では、「おいしかった」「野菜嫌いの子どもが食べた」など好評でした。また、マコモタケの活用として、南部まちづくりセンターで運営されているカフェで、カレーの具材として採用していただきました。
クラフトビール作りについては、原料となる大麦を、京田辺農福観地域づくり協議会の皆さんと一緒に市内各地の農地で栽培し、約40kgを収穫することができました。ホップの栽培はうまくいかなかったので、気候が近い近隣市のものを使い、300本のビール試作品を完成させました。生産に携わった関係者約80人を招いた試飲会では、「すっきりとした味わいで飲みやすい」などの感想をいただきました。

◇見えてきた課題とその対策は
マコモタケは現在登録農薬がないため、除草はすべて手作業で行いました。また、背丈が約2mあるほか、根が深く張るので、収穫後の株掘りがとても大変でした。しかし、これらの課題はトラクターを活用することで解決できると分かり、手間をかけずに育てることができるので、転作用として好適な作物になると期待できます。
大麦については、明治時代に市内で栽培されていた歴史のある品種「ゴールデンメロン」を使用しましたが、背が高く倒れやすいことが分かりました。今後、品種改良を行い、高品質で栽培しやすい京田辺独自の品種にしていきたいと思います。

◇市民との関わりは
本プロジェクトは、市民の皆さんと協力してコミュニティの形成を促進することを最大の目標にしています。農業と特産化への取り組みはそのきっかけづくりです。私たちは、市内の魅力や課題についてゼミで学ぶほか、LOVE京田辺マルシェへの出店や、南部まちづくりセンターへの訪問を通じて、市民の皆さんとの接点を増やしてきました。京田辺農福観地域づくり協議会と共に取り組んできた大麦の栽培は、市民の皆さんに広く参加を呼び掛けた結果、親子連れなど幅広い年代の方々にご協力いただき、種まきの時は7人だったのが、収穫時には30人にまで増えていました。

◇今後のビジョンは
まずは、京田辺産の原料を使ったビールを商品化したいです。大麦の栽培面積を拡大し、ビールの生産量を増やして市民まつりなどのイベントで販売することが目標です。さらに、ホップも市内で生産し、100%京田辺産のビールを目指します。
次に、市民の皆さんと農業とをつなぐマッチングシステムの構築により、労働力不足に悩む農業をみんなで楽しく支え、市内の農地を守っていけるような仕組みを確立できればと考えています。また、市民の皆さんにホップ苗を配り、栽培に参加してもらうなど、気軽に農業や作物に触れられるような機会を増やしていきたいです。例えば、各家庭や公共施設などでホップのグリーンカーテン作りなどを楽しんだりして、「ビールのまち」を印象付けるような取り組みも、地域のブランド化としては面白いのではないでしょうか。
これらの取り組みは、農家の高齢化により拡大する耕作放棄地や農業の人手不足の解消につながることを期待しています。さらに、そこから新たな京田辺の特産を生み出すことで、市内の地域活性化に貢献できればうれしいです。

◇市民の皆さんにメッセージ
プロジェクトの参加者にとって、新たな学びや貴重な経験が得られる場になればと考えています。農作業や特産作りに携わることでますます地元に愛着をもっていただければうれしいです。興味がある人は、ぜひ、気軽に参加してみてください。一緒に新たな特産を生み出しましょう。

〔マコモタケ〕菌の作用で膨らんだ茎を食用として利用できるイネ科の植物。食感はシャキシャキしており、中華料理などとの相性が良いといわれています。
〔ホップの実〕ビールに苦みや香りを添える植物です。
〔KYOTANA BEER(京たなビール)〕京田辺産大麦100%使用のクラフトビールの試作品。ラベルには、「みんなで作るこだわりの一杯」と印字されています。

◆ビールの原料となる大麦を一緒に育てませんか?
参加者募集
日時:11月19日(日)午後
場所:岡村区公民館裏の農地(大住)。駐車場があります。
内容:大麦の種まきをみんなで行います。
詳細が決まり次第、京田辺農福観地域づくり協議会インスタグラム(本紙7ページの二次元コード参照)でお知らせします。

申込・問合せ先:京田辺農福観地域づくり協議会・岡本
【E-mail】kazu8810@nike.eonet.ne.jp

◆昨年度の研究成果を紹介
昨年度の「市大学連携地域貢献研究事業」の研究成果を、市ホームページで公開しています。

◇農と食を活用した市民主導型まちづくりの推進
~地元産大麦とマコモタケの商品化の試みを軸として~
摂南大学農学部応用生物科学科特任助教の沼本穂さん

◇遠く離れた京田辺の文化財をもっと身近に
~市外所在京田辺市出土文化財の3D化と活用方法の模索~
京都府立大学文学部歴史学科准教授の諫早直人さん

◇京田辺市における新しい観光マップの作成を通した地域理解の促進を目指す実践的研究
同志社女子大学現代社会学部社会システム学科教授の天野太郎さん

◆研究ニーズバンク 大学に研究してほしいテーマを募集
市は、市内で活動する団体などが抱える地域課題を取りまとめ、研究テーマとして大学に提供する「市研究ニーズバンク」を設置しています。同バンクに登録された内容は、大学の研究者へ提供され、研究テーマの検討資料として活用されます。応募方法については、市ホームページをご覧ください。

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