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新春対談

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京都府宇治市

宇治市長 松村 淳子(まつむら あつこ)×パティシエ 鎧塚 俊彦(よろいづか としひこ)

◆鎧塚俊彦さんプロフィール
1965年生まれ。宇治市出身(菟道小学校、宇治中学校)。23歳でパティシエの世界に飛び込む。ヨーロッパで洋菓子の原点や基礎を学ぶため渡欧。8年間の海外での修行を経て帰国。2002年、「Toshi Yoroizuka」ブランドを立ち上げる。素材の見直しから生まれた小田原市での農業の取り組み、エクアドルでの世界初の「畑から作るショコラ」への挑戦等、スイーツを通して農業と地方の活性化に尽力中。

■葛藤しながら挑戦するお菓子作り
市長:新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。宇治市観光大使でパティシエの鎧塚俊彦さんの東京のお店にお邪魔しています。素敵なお店ですね。
鎧塚:ありがとうございます。東京と小田原に4店舗構え、一定の評価をいただいていると感じていますが、それに甘えず精進していきます。
市長:一昨年、宇治市で開催しました全国お茶まつり京都大会でコラボスイーツを作っていただきました。とても美味しかったですが、こだわりはどういったところでしょうか。
鎧塚:「宇治」と言えば「抹茶」と言われるくらいなので、抹茶本来の味をストレートに出すことを意識しました。抹茶は火に弱く、オーブンで焼くと味が飛んでしまう等の特性を十分に理解しながら、何を作るのがいいかを模索しました。
市長:宇治を代表する抹茶ですが、「苦い」とイメージする人もいます。実際は甘くて繊細なものだと思いますが、いかがでしょうか。
鎧塚:抹茶は、長い歴史を掛けて完成された素晴らしいものです。素晴らしい素材に出会うほど、嬉しさと同時に頭を抱えます。というのも、砂糖や卵を加えると素材本来の味が変わってしまうので、「究極の素材はそのまま味わった方がいいのでは?」と頭をよぎります。お菓子作りのために加工していいものかジレンマを抱えながら、挑戦しています。

■素材へのこだわりが農業を始めるきっかけに
市長:素材に対する想いが強いですね。お菓子作りにおいて、心がけておられることは何ですか。
鎧塚:必ず素材の産地に赴くことを大事にしています。実際に目で見て、生産者と話すことでアイディアを膨らましています。素材を追求するようになってから、地域と第一次産業(農業等)の活性化が夢の1つになりました。
市長:そこから小田原市で農業を始められたのですね。
鎧塚:そうです。場所を探している中で、小田原市に行った際に第一印象で「京都と似ているな」と感じ、この場所に決めました。
市長:根底に京都への愛着があるのですね。
鎧塚:京都は、「世界の京都」と言われるほど歴史や文化があり、伝統をしっかり守っていく気持ちが強いと感じます。一方で、小田原市は伝統を守る気持ちに加えて「このままでは良くない」という危機感を持っており、「新しいものを取り入れて変わっていこう」という気持ちが強いと感じました。だからこそ、新しく農業に挑戦する自分を受け入れてもらえたのだと思います。

■「食」を通したつながり
市長:鎧塚さんのように、第三次産業(サービス業)の事業者が直接、第一産業に携わるのは難しいと思います。そこで、宇治市では生産者と事業者をマッチングさせる取り組みを始めています。
鎧塚:とても良い取り組みですね。どんどんチャレンジしていくべきです。昔は個人同士で協力するのが難しい雰囲気がありましたが、最近は個人同士のつながりが認められてきました。大手企業と個人が、しっかりと役割分担してやっていけばいいと思います。
市長:宇治には個人で頑張っておられる生産者が多いです。マッチングを通してつながりが広がることを期待しています。
鎧塚:宇治には抹茶以外にもたくさん良い素材があるのに、抹茶のイメージが強くて注目されづらいですね。個人ならではの武器を生かして頑張ってほしいです。

■宇治のおすすめの場所と魅力
市長:宇治のおすすめのスポットはありますか。
鎧塚:大吉山です。今でも帰省すると登ります。平等院通りや塔の島から興聖寺まで散歩するのも好きです。住んでいた頃に比べると、整備されてとても綺麗になっていますね。
市長:昔と変わらない景色を大事にしたいと思っています。1月から放送される紫式部を主人公とした大河ドラマ「光る君へ」(NHK)を契機として、宇治市では「源氏物語」や「紫式部」ゆかりのまちとしての魅力だけでなく、重層的な歴史や文化の奥深さがある宇治の魅力を広く発信していきたいと考えています。
鎧塚:宇治はポテンシャルがとても高いと思います。ただ、昼間は賑わっていますが、夜は閑散としていると感じました。飲食店や宿泊施設を増やして、夜でも人が集まるようにしてほしいです。
市長:宇治市は自然と歴史を保ちながら街づくりを進めています。鎧塚さんの貴重なご意見を参考にさせていただきます。

■市民へのメッセージ
市長:最後に市民の皆さんにメッセージをいただけますか。
鎧塚:宇治は可能性を秘めた街なので、自信を持ってチャレンジしてください。「誰かがやってくれる」と思うのではなく、「自分たちが宇治を変えていく」という気持ちでどんどん挑戦してほしいです。
市長:観光大使として宇治の魅力を発信してもらえると嬉しいです。
鎧塚:もちろんです。生まれ故郷である宇治と積極的に関わっていきたいです。
市長:ありがとうございます。鎧塚さんの今後のご活躍を心より期待しています。

問合せ:秘書広報課
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