◆厄介な帯状疱疹後神経痛(PHN)
帯状疱疹をご存じの人は多いと思います。すでに罹患された経験がある人も多いのではと思います。
◇帯状疱疹とは
水痘(水ぼうそう)は子どもの頃にほとんどの人がかかる病気です。この病気の原因となっているウイルスは水痘が治った後も、体の奥深くの神経節に残ります。宿主(人間)が弱ると、逆にこのウイルスが活性化し(元気になり)、神経を伝わって皮膚に現れ、強い痛みを伴う多数の水疱が体の片側に出来る病気が帯状疱疹です。
普通は2~3週で自然に治ります。しかし5人に1人ぐらいの割合で長期間(数カ月から数年)痛みが残る場合があります。これを帯状疱疹後神経痛(PHN)といいます。焼けるような、刺すような、強い痛みです。
多くはないですが、帯状疱疹は顔面にも生じる場合があり、顔面神経麻痺や視力低下(片側だけですが)を残すこともあります。帯状疱疹は50歳を過ぎる頃からみられるようになり、加齢とともに発生率が高くなってきます。免疫力の低下が一番の原因です。
一生の間に数人に一人が帯状疱疹にかかるといわれています。命にかかわる病気ではないですが、PHNなどの合併症が生じることが問題です。
◇帯状疱疹を予防するにはワクチンが効果的です
ワクチンには2種あります
(1)弱毒化水痘生ワクチン…このワクチンは従来の水痘ワクチンです。生きたウイルスを弱毒化して作られています。
(2)シングリックス…これは不活化ワクチンです。帯状疱疹予防目的に作られたワクチンです。
(2)の方が(1)より効果的には優れていますが、薬の価格が高いのがネックです。1本で約2万円です。しかも2カ月後に、2回目の接種が必要ですので、計4万円はかかります。
(1)の費用は6千円弱です。しかも一回だけの接種で済みます。ただし帯状疱疹発症予防効果は(2)より低く、かつワクチンの有効持続効果も5年未満です。
なお、帯状疱疹が出来始めたら早めに受診してください。抗ウイルス薬と鎮痛剤による治療になります。重症化を防ぎ、治るまでの期間を短縮する効果があります。しかし、PHNを100%防ぐことは期待できません。したがって帯状疱疹は予防が大事です。
関心を持たれた人、心配されている人はぜひ脊振診療所へご相談ください。
国民健康保険脊振診療所 牛島 幸雄
問い合わせ:診療所
〒842-0201 神埼市脊振町広滝555番地1
【電話】59-2321
<この記事についてアンケートにご協力ください。>